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高校野球【第101回全国高校野球選手権大会】

2019夏/先輩エース支え支えられ

写真:九回無死満塁のピンチに、本田旭捕手がマウンドに駆け寄り、エース篠田怜汰投手を励ました 拡大九回無死満塁のピンチに、本田旭捕手がマウンドに駆け寄り、エース篠田怜汰投手を励ました

 ◆ 羽黒・本田旭捕手

 試合途中から降り始めた小雨がやみ、晴れ間がのぞいた八回裏。羽黒は2点をリードされていた。

 打席に入った本田旭捕手(2年)は、垂直に構えたバットを見つめた。「篠田さんたちとまた甲子園に行くんだ」。内角の変化球を振り抜いた打球はアーチを描いて左翼席に飛び込んだ。

 三塁を回り、ベンチで喜ぶ篠田怜汰投手(3年)らに雄たけびを上げた。あと1点で、同点だ。

 昨夏の甲子園に出場した羽黒。背番号「1」を背負った篠田投手は、初戦で敗れたものの好投を見せた。「来年も絶対に来るから」と甲子園の土を持ち帰らなかった篠田投手の姿を、1年生で唯一ベンチ入りした本田捕手は見ていた。

 昨夏のチームには、絶対的支柱がいた。主将で捕手だった秋保優大さんだ。篠田投手をはじめ昨夏の主力が多く残った新チームは、マスクをかぶる本田捕手に「秋保の影を求めていた」(渋谷瞬監督)という。

 練習では先輩たちに気後れしないよう、強気で臨んだ。だが、試合に敗れるたびに「自分のせいでは」と思い悩んだ。練習にも全力が注げなくなってきた。

 「旭の力が必要だ」。日下部由伸主将(3年)や志田悠人(ゆう・じん)選手(3年)らが何度も言ってくれた。篠田投手は言葉にしない代わりに、いつも全力でボールを投げ込んできた。「3年生は自分を見捨てないでいてくれた」。その気持ちに応えたい。そう思えた。

 この日、本田捕手は制球に苦しむ篠田投手のもとに何度も駆け寄り、励まし続けた。篠田投手も、四回に無死満塁のピンチをしのぐなど、粘り強く右腕を振った。「旭がうまく間を取ってくれたから、集中力が切れなかった」と振り返る。

 だが、粘投は報われなかった。「もう3年生と野球ができない」と目元をぬぐう本田捕手の傍らで、篠田投手は言った。「次のチームには、頼れるキャッチャーが残っている」

 「甲子園で勝利」。先輩が果たせなかった目標が、後輩に託された。(西田理人)

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