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高校野球

73年ぶり再試合 平和かみしめ

写真:米とジャガイモを交換し、握手をする両校の主将ら 拡大米とジャガイモを交換し、握手をする両校の主将ら

写真:公式戦さながらの真剣勝負が繰り広げられた=いずれも北海道函館市 拡大公式戦さながらの真剣勝負が繰り広げられた=いずれも北海道函館市

 ◆ 山形東高野球部、函館中部高と

 山形東高校野球部が6日、戦後初の夏の全国大会で敗れた函館中部高校野球部と北海道函館市の函館オーシャンスタジアムで73年ぶりの「再試合」に臨んだ。食糧難の時代に対戦した縁で実現した親善試合で、選手らは平和だからこそ野球に没頭できることをかみしめつつ全力でプレーした。

 両校は、それぞれ旧制の山形中学、函館中学だった1946(昭和21)年、夏の全国大会に出場。甲子園球場は米軍に接収されており、会場は西宮球場。敗戦直後の食糧難の時代で、各校は食料持参での参加で、山形中も地元から多くの米を持ち込んで臨んだ。

 大会3日目の試合では、山形中が5―13で敗退。試合後、山形中は米が尽きた函館中に自分たちの米を贈ることにした。山形中の選手らが訪ねると、全員が並んで「ありがとうございました」と頭を下げた。代わりに函館中が持参したジャガイモを受け取ったという。

 この逸話にちなみ、試合前には山形東から県産のつや姫3キロ、函館中部から北海道産のジャガイモ20キロを贈り合う交換式があった。

 試合前、山形東の佐藤陽一監督(58)は、73年前に先輩たちが戦時中は土蔵に隠していた道具で練習し、全国出場を果たしたことを選手らに話した。「野球に没頭できるのは平和だから。それをかみしめてほしい」と呼びかけた。

 両校の選手らは「フルスイング!」「ここだ、逆転だ」などと声を張り上げ、公式戦さながらの真剣勝負を見せた。2試合を戦い、いずれも山形東が勝利。長谷川喬士主将(2年)は「ご飯が食べられて野球ができる。この環境に感謝し、全力でプレーした」。

 スタンドでは、両校の卒業生や保護者らが見守った。その中の一人、駒井惇助さん(85)は46年に函館中に入学。野球部が全国大会から戻り、報告会を開いたことを覚えている。「山形から米をもらったことを聞いて感動したな。ずっと戦争の中で生きてきたので、終戦してもすぐに平和になったとは思えなかったけれど、野球の大会が始まって『元に戻ったんだ』と思った」と振り返る。

 練習道具も足りなかった当時を思い「ユニホーム姿がかっこいいね。当時の選手はうらやましがると思うよ」と目を細めた。(青山絵美)

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