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根ほり葉ほり

鳥海山のイヌワシなぜ増えない?

写真: 拡大

 ◆ 環境省猛禽類保護センター 自然保護官 澤野 崇さん(40)

 イヌワシなど猛禽(もう・きん)類の調査研究や保護事業のため、酒田市の鳥海山南麓(なん・ろく)に環境省猛禽類保護センター(鳥海イヌワシみらい館)が開設され、来年で20年になる。鳥海山のイヌワシの現状などを、同センター自然保護官の澤野崇さん(40)に聞いた。

 ◆ エサの「狩り場」減少が原因

――国内にはイヌワシがどれぐらい生息していますか。

 イヌワシは、国内での生息数が400〜650羽と推定され、絶滅の恐れがある国内の野生生物の状況をまとめた環境省のレッドリストでは絶滅危惧1B類に分類されています。

 鳥海山周辺では、つがいが2ペア確認されています。1ペアの縄張りは最大2万5千ヘクタール(庄内町の面積に相当)と言われています。鳥海山の2ペアは山の北側、南側といった形ですみ分けているようです。

 ――鳥海山周辺では増えているのでしょうか。

 これまでに把握している営巣地で、最後に繁殖が確認できたのは2012年です。別の巣で繁殖している可能性もありますが、幼鳥が確認されていないことから、この年以降は繁殖に成功しておらず、個体数は増えていないと考えられます。

 ◆ 荒れた山影響

 ――なぜイヌワシが増えていないのですか。

 イヌワシがエサを確保するための「狩り場」が減っていることが大きな原因の一つでしょう。イヌワシは主にノウサギを捕食しますが、そのノウサギが暮らせる広葉樹林や草原が開発などで減っています。また林業が衰退し、山が荒れたことも影響しています。

 ――山に人の手が入らないことがどう影響するのでしょうか。

 例えば、人工林のスギ林が間伐や下草刈りなど手入れされないまま放置されると、木々が密生して日が差し込まなくなります。ほかの植物が育たず、虫やそれを食べる小動物は暮らせません。間伐や、木材の切り出しのための伐採で日当たりが良くなれば動植物も住めるようになり、空間もできるのでイヌワシにとっては良い狩り場になります。

 ◆ 保護へ連携を

 ――山が木で覆われていれば自然豊かで生態系が保たれている、というわけではないということですね。

 食物連鎖で頂点に立つイヌワシが生息できるのは、えさとなるノウサギが多く住み、そのためにはノウサギが食べる草が豊富で……と様々な動植物が共存する生物多様性が保たれた環境です。

 そもそも野生動植物の保護は、環境省だけでは不可能です。林野庁など他の省庁や自治体に加え、地元で暮らす人たちとの連携や協力が欠かせません。そのために、イヌワシなど猛禽類の調査研究や保護増進事業だけではなく、普及啓発にも力をいれています。

 ――具体的にはどのような取り組みでしょうか。

 みらい館の入り口にはイヌワシの剥製(はく・せい)があり、実際の大きさを実感できるだけでなく、触ることもできます。イヌワシとミサゴの脚の形の違いや狩りの方法の違いなど、鳥海山周辺で観察できる様々な猛禽類の生態や特徴を学べる展示に力を入れています。ぜひお立ち寄りください。 (聞き手・鵜沼照都)

 ◎ さわの・たかし 1979年、山口県防府市出身。宮崎大では遺伝子工学を専攻した。民間会社を経て2005年に環境省入省。やんばる自然保護官事務所(沖縄県国頭村)、外来生物対策室などを経て、18年4月から現職。東日本大震災時はペットの避難対応も担当した。妻の歩美さんも、羽黒自然保護官事務所(鶴岡市)の自然保護官。

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