ここから本文エリア 伝統の一戦、被災には負けぬ 仙台一高・二高定期戦2011年5月15日
東日本大震災でグラウンドががれきの山と化した仙台一高の野球部が14日、ライバル仙台二高との定期戦に臨んだ。思うように練習できず、春の宮城県大会も中止されるという異例の事態だが、明治時代以来の伝統の一戦は実現した。 「やることはやってきた。自分たちを信じよう」。プロ野球楽天の本拠地Kスタ宮城での試合前、一高ナインは円陣を組み、雄たけびを上げた。 校庭とは別に海から約3キロの地点に造られた一高のグラウンドは、津波で大きな被害を受けた。部員や父母らが協力し、約1カ月でがれきを片付けたが、泥水がたまっているため、土を入れ替える必要があり、使用を再開できるのは早くても夏以降の見込みという。 両校によると、定期戦は記録が残っているだけでも大学野球の早慶戦より早い1900(明治33)年からあり、毎年、生徒や卒業生らが応援に詰めかける。だが、今年は震災でプロ野球の日程が狂い、予定通り戦えるかどうか分からない状態が続いた。 それでも、一高ナインは前向きに練習を重ねた。 手狭で打球を遠くに飛ばせない校庭で行っているのは「模擬打撃練習」。打撃投手と打者の間にネットを置き、投球は全てネットに収まる。打者は空振りを繰り返すだけだが、実戦での投手との距離感はつかめるというわけだ。 グラウンドは、津波の被害を受けていない校舎から自転車で30分ほどの距離にある。その分、練習時間は短くなるが、建部淳監督は「集中したり工夫したりする姿勢が身につく」と話す。震災後も、練習メニューが限られる中で「今の環境で出来るだけのことをしよう」という雰囲気が自然に生まれたという。 二高も、自校のグラウンドで合同練習したり、ボールを提供したりして、ライバルを助けてきた。 試合は、一高が8回に逆転され、2―3で敗れた。本内大吉主将は「厳しい環境はこれからも続くと思うけど、一瞬一瞬に集中した濃い練習にし、夏の大会は絶対に勝利という結果を残したい」と話した。(木下こゆる)
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