【動画】阪急十三駅前で火災=吉山健一郎撮影
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 7日午前6時すぎ、大阪市淀川区十三(じゅうそう)本町1丁目の阪急電鉄十三駅前で、「店のトイレ付近から火が出ている」と居酒屋の女性店主(63)から119番通報があった。大阪市消防局によると、車両52台が消火にあたり、約3時間後にほぼ消し止めたが、飲食店など36店舗、延べ1500平方メートルが焼けた。けが人は確認されていない。大阪府警が出火原因を調べている。

 現場は十三駅西口近くの飲食店が密集している地域。終戦直後からにぎわう繁華街で、戦後しばらくトイレがなかったことから「ションベン横丁」と呼ばれて親しまれている。半世紀以上の歴史をもつ老舗の人気店もあり、1961年から続く焼き肉店「請来(ちんらい)軒」などが被害に遭ったとみられる。火元とみられる居酒屋は24時間営業で、出火当時は客が数人いたという。火災現場からは「ドン」と大きな爆発音も響き、一帯に煙が立ちこめた。

 十三駅は、京都、宝塚、神戸の3線が合流し、平日には平均約7万3千人が乗降する。火災は朝の通勤・通学時間帯だったが、阪急電鉄は駅西口の改札口を閉鎖し、駅員や警察官が別の改札口に誘導。神戸線は一時、上下線とも同駅での乗降を見合わせた。同線で最大約40分の遅れが出て、約4万5千人に影響した。

 府警によると、火災現場に向かっていた消防車が午前6時50分ごろ、大阪市北区鶴野町の国道交差点でバイクと衝突し、バイクの男性(42)が肩に軽傷を負った。

 十三は、映画「ブラック・レイン」のロケ地や、宮本輝の小説「骸骨(がいこつ)ビルの庭」の舞台となった。

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■昭和の大衆文化が香る地域

 《居酒屋文化に詳しいエッセイスト・吉田類さんの話》 ションベン横丁は「飲酒文化」と「キャバレー文化」が混在し、昭和の大阪の大衆文化が色濃く残る地域。テレビ番組の収録でも何度か通った。細長い路地がどこまでも続き、迷路に迷い込んだような不思議な雰囲気が魅力的だった。昔ながらの洋食屋や純喫茶、老舗バーもあり、大人がくつろげる街でありながら、最近は若い人も営業を始め、開放的なイメージも生まれていた。今後どうなってしまうのかとても心配です。

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 〈ションベン横丁〉 戦後、空襲で焼け野原となった阪急十三駅西口一帯に飲食店が集まった繁華街。近くにトイレがなく、酔客が線路沿いの壁に用を足していたことからこの呼び名がついたという。南北約150メートルの狭い路地沿いに大衆酒場やホルモン焼き店など約50店が集まり、サラリーマンらの憩いの場として親しまれている。お笑い芸人のトミーズ雅さんは2012年11月の本紙記事で「ほんまにええ店ありますよ。フグ鍋1人前、1千円もしないとこがありますし、きどらない店ばかり」と語っている。