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■評:ペラペラの現代 痛烈風刺

 凄(すご)いスピードで移り変わる同時代性に向き合うことは、過去の歴史といった固定の真実を掘るよりも、ある意味難しい。この映画は“いま”の実相に食らいつき、底流する深層を捉えることに成功した傑作だ。原作は「告白」などの湊かなえ。証言や資料の断片のみで構成された実験的小説を、「アヒルと鴨のコインロッカー」以降、快進撃を続ける中村義洋監督が驚異のテクニックで映画化した。

 物語の核となるのは凄惨(せいさん)なOL殺人事件。被害者は派手な美女であり、犯人の容疑者として地味で内気な同僚の女性(井上真央)が挙がっている。その一方、テレビの番組制作会社に勤めるディレクターの青年(綾野剛)が友人を通して偶然事件に接触。独自に得た情報をツイッターで“ダダ漏れ”させていく。やがて彼が作ったワイドショーの映像により、世間の野次馬的興味が加速していく。

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