昭和天皇(1901~89)の日々の動静や関わった出来事などを記した「昭和天皇実録」が完成し、21日午後、皇居・御所で、天皇、皇后両陛下に献上された。内容は9月中旬に公表される。大正天皇実録は一部が黒塗りされて公開されたが、今回は黒塗りはないという。

 昭和天皇実録は、宮内庁が87年の生涯を確実な資料に基づいてまとめた、いわば公式記録だ。在位期間は歴代最長の62年。開戦から終戦後の復興に至るまで、激動の昭和史をめぐる新事実が明らかになるかが注目される。

 宮内庁によると、実録は和製本で、昭和天皇の誕生(1901年)から逝去(89年)までを4部にわけて年代順に記述されている。計61冊(1冊は目次・凡例)で、分量は「明治天皇紀」の1・5倍にあたる約1万2千ページ。これまでの天皇実録は文語体だったが、今回は初めて口語体が用いられた。

 編集作業は昭和天皇の逝去翌年の90年度に16年計画で開始。2回の延長を経て約24年5カ月で完成した。宮内庁書陵部の職員が、昭和天皇の元側近ら約50人に聞き取り調査し、全47都道府県のほか、米国、英国など海外にも計5回出張。侍従ら関係者の日誌、外国の公文書など約3千点の資料を集めた。非常勤を含めて計112人の職員が関わり、経費(人件費をのぞく)は約2億3千万円。

 21日は、御所で両陛下に昭和天皇実録が提出され、宮内庁の風岡典之長官が完成までの経緯、概要を報告した。宮内庁によると、天皇陛下は「実録が完成したことをうれしく思います」という趣旨の感想を述べたという。

 昭和天皇実録は近く入札で出版社が決まり、5カ年計画で公刊される。公刊本は計19冊の予定(1冊は索引)で、来年3月に2冊(1901~20年)が刊行される見通し。(島康彦中田絢子

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 〈昭和天皇〉 1901(明治34)年4月29日、大正天皇の長男として誕生。名前は裕仁(ひろひと)。大正天皇の病気のため、21(大正10)年に摂政に。26(同15)年、大正天皇の逝去により25歳で即位した。

 89年1月7日、87歳で逝去。在位期間は62年で、歴代最長。天皇として最も長命だった。香淳皇后との間に7人の子が生まれ、長男は現・天皇陛下、次男は常陸宮さま。弟は三笠宮さま。