【動画】広島で大規模土砂災害=熊倉隆広撮影
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 広島市北部で20日午前2時過ぎから、1時間に100ミリを超える猛烈な雨が降り、広範囲にわたって土石流などが発生した。広島県警によると、20日午後10時現在で39人が死亡、7人が行方不明になった。被害はさらに拡大する可能性がある。広島市が避難勧告を出したのは午前4時半ごろで、金山健三・市危機管理部長は「避難勧告を出すのが遅かった」と述べ、対応のミスを認めた。

 県警によると、死亡した39人はいずれも土砂などに巻き込まれたと見られる。

 広島市内では20日未明から早朝にかけて急速に雨雲が発達。広島地方気象台によると安佐(あさ)北区の降水量は、午前4時までの3時間に史上最多の217・5ミリとなり、平年の8月1カ月分を上回る雨量となった。

 市災害対策本部によると、20日午前3時過ぎから救助の要請が入り始めた。安佐南区で「男の子2人が生き埋めになった」「平屋が倒壊し女性が生き埋めになった」と通報が相次ぎ、安佐北区でも午前4時すぎから「4人が生き埋めになった」など要請が増えていった。安佐南区の消防署員、政岡則義さん(53)は、安佐北区の災害現場で救出作業中、新たに発生した土砂災害に巻き込まれ死亡したという。救助要請は安佐南区と安佐北区を中心に合計48カ所にのぼった。

 広島市は勧告を検討する基準を設けており、多数の被害が出た安佐南区で午前3時には基準を超える雨量があった。しかし勧告が出たのは午前4時半ごろで、土砂崩れや生き埋めの119番通報があった後だった。

 市によると、午後7時時点で避難勧告・指示の対象は安佐南区内と安佐北区内の計6万6951世帯、15万9100人で、914人が実際に避難している。

 広島県では県土の約7割を山地が占め、「土砂災害危険箇所数」が全国最多の3万1987カ所にのぼる。県によると、同危険箇所は今回被害のあった広島市にも分布。地質は風化が進んだ崩れやすい花崗(かこう)岩(まさ土(ど))などからなる。

 31人が死亡、1人が行方不明になった1999年の広島の豪雨災害を機に土砂災害防止法が制定され、広島県は同法に基づいて土砂災害の恐れがある土砂災害警戒区域(イエローゾーン)や、特に危険の高い土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)の指定を続けている。ただ、今回被害の出た安佐南区八木などは、まだ指定に向けた作業が行われていなかった。

 広島県の湯崎英彦知事は20日午前6時半、陸上自衛隊に災害派遣を要請し、約400人が救助活動に当たった。大阪府警や兵庫県警などは広域緊急援助隊を派遣した。国土交通省は土砂災害の専門家を派遣した。

 JR西日本広島支社によると、可部線の緑井―可部間と芸備線の三次―広島間が終日運転を見合わせた。土砂流入のため21日も運転を見合わせる。

 中国電力によると、午後4時現在、広島市安佐南区と安佐北区で1300戸が停電。前日夜からの県内の延べ停電数は5万9100戸になった。

■死亡が確認された方々

(※広島県警まとめ)

 広島市安佐南区緑井8丁目 無職 沢本範子さん(77)▽同区毘沙門台3丁目 安佐北消防署員 政岡則義さん(53)▽同区緑井7丁目 広島市都市交通部長 竹内重喜さん(54)▽同区山本8丁目 小学生 平野遥大(はると)君(11)▽同所 平野都翔(とわ)君(2)▽広島市安佐北区可部東6丁目 畑中和希君(3)▽同市安佐南区緑井7丁目 無職 岡村健二さん(89)▽同区八木3丁目 無職 星野藤夫さん(79)▽同所 パート 真鍋美千子さん(68)▽同所 左官 鳥越勇司さん(46)