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 名古屋で同宿した女と三四郎は一つの布団で夜を過ごした。何事もなく朝を迎えて別れ際、女は「あなたはよっぽど度胸のない方ですね」と言って、にやりと笑った。名古屋から乗り合わせた、ひげの男が豊橋で水蜜桃を買った。一緒に食べよう、と三四郎にいう。ひげの男は桃を食べながら冗談か真面目か判別のつかない話をしている。男は「いくら日露戦争に勝って、一等国になっても駄目ですね」と言いきる。三四郎が「しかしこれからは日本も段々(だんだん)発展するでしょう」と言い返すと、「亡(ほろ)びるね」。男は名前を明かさないまま、汽車は東京についた。

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