【動画】女流棋士・竹俣紅さんインタビュー=竹谷俊之撮影
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(I love将棋)

 東京・渋谷にある中高一貫の進学校に通う。「いきものがかり」や「きゃりーぱみゅぱみゅ」の歌が好きだけど、カラオケには行ったことがない。放課後や休日に友だちと買い物に行く暇もない。「お風呂とご飯以外は、学校の宿題と将棋の毎日です」。でも、将棋が何よりの楽しみなので苦にならないそうだ。

 将棋の勉強法はパソコンでの棋譜並べや戦法の解説書を読むことだ。はやりのネット対局は、地方に住む奨励会員と指す時ぐらいにしか使わない。もっぱら実戦派だ。

 学校では将棋部に所属。プロなので、文化祭の企画を立てたりコーチ役に回ったりと、黒衣に徹している。「昨年は(後輩たちが)中学校団体戦の都大会で優勝しました。部内の和に努めているので、チームワークを発揮できたのだと思います」

■漢字の勉強のつもりで

 将棋を始めたきっかけは偶然だった。小学校の入学前、ソロバンの本を探しに近所の書店へ。目的の本は見つからなかったが、かわりに将棋の入門書が目に付いた。「漢字がいっぱい書いてあったので」。

 ちょうどその頃、新聞を読めるようになりたくて漢字にとても関心があったのだ。購入した本で猛勉強。同じ頃に手に入れた詰将棋の本は、背表紙が壊れるまで繰り返し読んだ。

 対戦相手を求めて将棋教室にも通った。小さな子どもからお年寄りまで、世代を超えて楽しめる将棋の魅力を肌で感じた。

 「テキストに漢字がたくさん書いてあったのも楽しかった」。小学5年で漢検2級に合格。将棋でも6年でタイトル戦の予選を突破し、小学生では異例の本戦出場を果たした。

 一方、運動とミッキーマウスが苦手だ。「2、3歳のころ、両親とディズニーランドに行きました。着ぐるみのミッキーを目の前にして大泣きしたのがトラウマになったみたいで……」。以来、ミッキーがついているグッズを避けるようになり、ディズニーランドにも行ったことがないそうだ。

 最強将棋ソフトの一つ「激指」に読み上げ役として登場するほか、ティーン向けファッション誌にも取り上げられた人気者。もしミッキーを相手に対局する企画が持ち込まれたらどうする?と水を向けると、「やだー。それは困ります」と笑う。

■趣味は渋く「ミニ盆栽」

 先輩の女流棋士の一人は「紅ちゃんはオシャレで、女子力が高い」と評する。でも、本人は「洋服を選ぶのは面倒くさい。生まれ変わるとしたら男の子がいい」。趣味がミニ盆栽というのも女子高生にしては渋い。小学校の高学年のころにお年玉で買った梅や桜、紅葉などを自宅で育てている。対局後には体調を崩すこともある厳しい勝負の世界。そんな中でミニ盆栽は癒やしの存在だ。「梅は水をあげすぎて巨大化してしまいました。もう『ミニ』じゃありませんね」

 好きな駒は「金」。盤上では自分の王将を守る要でもあり、敵の王将を詰ます時の鍵にもなる。「弱きを助け、強きをくじく。正義感にあふれた駒だと思います。自分もそういう人間になりたい」

 将棋での目標を聞くと、「タイトル獲得、と言いたいところですが、まずは昇級することです」と控えめに語った。

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 たけまた・べに 1998年6月27日生まれ。東京都港区出身。森内俊之九段門下。2012年に中学2年で女流プロになった。現在は女流2級。