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 大学生らに「ブラックバイト」と呼ばれる働かせ方が広がっている。アルバイトなのに勉強しづらくなるほど長く働かされたり、ノルマを達成できないと自腹で商品を買わされたり。数年前から問題視されてきたが、改善は進まない。大学などが注意を呼びかけ、厚生労働省も4月から本格的に警鐘を鳴らし始めた。

 大手コンビニチェーンの滋賀県の店で昨年11月まで1年半ほど働いた男子大学生(20)は、うな重やお中元の販売ノルマを課せられたという。おでんのキャンペーンの週には「家族や友達にも声をかけて100個は達成を」とオーナーに言われた。親にも一部出してもらって自宅用に数千円、50個以上を購入。残りは親戚に頼んだ。

 未達なら反省文を書かされ、「罰ゲーム」として勤務時間外にゴミ捨て場の掃除などを無給で命じられることも。オーナーが怖くて自腹購入がバイト仲間で常態化していたという。負担は1回あたり数千円でも、学生にとっては大きな出費になる。正社員でもノルマ達成の「自爆営業」は問題になっているが、弱い立場のバイトにもしわ寄せがいっている。

 大手コンビニ側は「本部から販売を強要するよう指示を出すことは一切ない」という。ただ、大半の店舗の運営はオーナーに任されていて、別の店のオーナーは「販売目標をバイトにお願いしたことはある」と認める。

 弁護士らでつくる「ブラック企業対策プロジェクト」は昨夏、全国27大学の約4700人を調査。バイト経験者約2500人の7割弱が勤務時間を無理に決められたり、契約時と労働条件が違ったりといった不当な扱いの経験があるとした。「バイトで疲れ、学業がおろそかになる」という意見もあった。

 こうした例は以前から指摘されていたが、小売りや飲食業ではバイトに正社員並みの役割を求める例も多く、改善が進まない。一人暮らしの学生などは収入をバイトに頼り、辞めにくい場合がある。

 新年度に入り、大学側も警戒を強める。法政大学キャリアデザイン学部は4日の集会で、授業に支障が出ないよう注意する文書を約300人に配った。一部の労組やNPO法人も大学などで説明会を開き、無理な勤務は拒否できることなどを訴える。

 厚労省は4月から「アルバイトの労働条件を確かめよう!」というキャンペーンを始めた。新たに働く学生に基本的なルールを知ってもらうのが狙いだ。バイトでも残業手当があり、会社都合で自由に解雇できないといったポイントを示したチラシ約1万8千枚を首都圏の4大学で配った。厚労省幹部と大学生の座談会も計画している。(平井恵美、佐藤秀男)

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 〈ブラックバイト〉学生生活と両立ができないアルバイト。若者に過酷な働き方を強いる「ブラック企業」との関連で、大学関係者らが問題視し始めた。休憩なしの長時間労働や、研修中といった理由での最低賃金を下回る給与は、労働基準法違反などの可能性がある。自腹での商品購入を強いると、労基法や刑法違反になる場合もある。

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