[PR]

 判断力が不十分なまま、業者から高額な商品を買わされたり、お金をだまし取られたりして財産を失ってしまう認知症のお年寄りが後を絶たない。

■営業電話「主人よりよっぽどやさしい」

 「認知症」「ボケ」「頭ヤバ」――。高血圧や糖尿病にも効果があるなどとうたい、高齢者らに電話で勧誘していた健康食品販売会社(東京)の顧客名簿には、住所、氏名、電話番号の下に、こうした走り書きが残っている。「認知?」とメモされた顧客には、3カ月間に4人の営業担当者が9回、電話をした記録もある。

 消費者庁は4月、この会社に対し、うその説明をしたほか、「認知症の消費者の判断力の不足に乗じ、売買契約をさせた」などとして、3カ月の一部業務停止を命令した。認知症の人に分割払いで約8万円の健康食品を売るなどしていた。顧客は31都道府県に広がり、5割以上は80歳以上のお年寄りだったという。

 「団塊の世代が定年を迎える。年寄りをだまして大もうけができる」。同社の元従業員は、幹部が言い放った言葉が忘れられない。

 元従業員らによると、営業方法はこうだ。過去に他社で健康食品を購入した高齢者ら23万人以上の名簿をもとに、パートが電話をかける。割安のサンプルを買った顧客には、社員が電話で販売攻勢。「以前に電話したこと自体を忘れているなど、10分話せば認知症かどうか分かった」という。