[PR]

 「レッテル貼りはやめて」。集団的自衛権の行使容認や安全保障関連法案の議論で、安倍晋三首相は繰り返し言う。政治とは言葉の応酬であり、絶妙な言い回しが政権をゆさぶった例も少なくない。「レッテル貼り」について考えた。

 昨年7月14日、集団的自衛権をテーマに開かれた衆院予算委員会の集中審議。民主党の海江田万里氏が「抑止力を高めると軍拡競争が始まるのでは」と指摘すると、首相は「私を抑止力万能主義と決めつけるが、抑止力をほとんど認めていないような、さすが民主党だ」。さらに「レッテルを、私がレッテルを貼ったなら謝るが、海江田さんもレッテルを貼ったなら取り消していただきたい。お互いにレッテルを貼りあうという不毛な。海江田さんがまずレッテルを貼ったから、私もレッテルを貼った。レッテル貼りの議論ではなくて、レッテル貼りではなく中身の議論をすべきだと思う」。

 1回の答弁で8回も「レッテル」という単語を使い、「レッテル貼り」へのこだわりを見せた。

 昨年暮れの衆院選での街頭演説、4月末のオバマ米大統領との共同記者会見、5月の安保関連法案の閣議決定後の会見や衆院本会議……。首相は「レッテル貼りは不真面目だ」「無責任だ」などと「レッテル貼り」に警戒感を示した。

 とりわけ4月の参院予算委員会で社民党の福島瑞穂氏が言及した「戦争法案」の名称には「レッテルを貼って議論を矮小(わいしょう)化することは断じて甘受できない」と、猛然と反論した。