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 第153回芥川賞・直木賞(日本文学振興会主催)の選考会が16日、東京・築地の料亭「新喜楽」で開かれ、芥川賞に、お笑いコンビ「ピース」の又吉直樹さん(35)の小説「火花」(文学界2月号)が選ばれた。お笑い芸人の芥川賞受賞は初めて。羽田圭介さん(29)「スクラップ・アンド・ビルド」(文学界3月号)も決まった。直木賞には東山彰良さん(46)「流」(講談社)が選ばれた。副賞は各100万円。贈呈式は8月下旬、東京都内で開かれる。

 又吉さんは1980年、大阪府寝屋川市出身。受賞作の「火花」の単行本は60万部を超えるベストセラーになっている。

 「火花」は又吉さんの初の本格的小説デビュー作。売れない若手芸人が主人公の青春小説だ。徳永は、年上の漫才師・神谷の他人にこびないお笑いのスタイルに心酔、慕うようになる。師弟関係を結んだ2人は成功を夢見て東京の街をさまよい歩く。徐々にチャンスをものにしていく徳永に対し、笑いの純度を追求するあまり周囲に理解されず、私生活もうまくいかない神谷。「お笑い」の世界でもがく若者たちを、自身の経験に裏打ちされたリアリズムで描き出した。

 羽田さんは1985年生まれ。東京都出身で在住。

 受賞作は、カーディーラーの過酷な仕事をやめて無職になった青年と、同じ家に暮らす要介護の祖父との物語。若年層と老年層がそれぞれの生きにくさを抱えてせめぎ合う現代社会の縮図を、ユーモラスななかにも切実な希望をこめて描いた。

 直木賞に決まった東山さんは1968年、台湾台北市生まれ。9歳で日本に移住し、永住権を取得。現在は福岡県小郡市に住み、本名で大学の非常勤講師として中国語を教えている。

 受賞作「流」は台湾が舞台の青春小説。主人公の葉秋生(イエチョウシェン)は1975年、祖父を何者かに殺される。祖父は戦時中、中国大陸で多くの命を奪っていた。秋生はルーツをたどり、祖父の殺害犯を追う。父を主人公のモデルにするなど、実話からハードボイルド青春小説に仕立てた。