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 新国立競技場建設の事業主体の日本スポーツ振興センター(JSC)は21日、ザハ・ハディド氏のデザインに基づく旧計画で、着工前段階のデザインや設計などの契約が計約59億円に上ることを明らかにした。建設計画自体は白紙になったが、これらの業務の大部分はすでに完了してJSCは支払いを終えており、相当部分が戻らない見込みだ。

 JSCがこの日、民主党の「東京オリンピック・パラリンピックに係る公共事業再検討本部」に提出した資料によると、ハディド氏のデザイン監修が14億7千万円。日建設計、梓設計、日本設計、アラップ設計共同体の設計業務が約36億5千万円。施工予定業者で設計にも携わった大成建設、竹中工務店の技術協力が約7億9千万円。

 ハディド氏との契約は17日の同本部の会合では17億円と説明していたが、21日は、13億円を支払い済みで、さらに今年度分1億7千万円のうち契約解除前の業務の報酬が必要なうえ、業務中止のための追加費用が発生すると説明。損害賠償を請求される可能性もあるとした。また基本的に作業が完了している設計業務については「若干残っている部分があれば返還をお願いする」とし、関係各社と協議する。

 新国立競技場をめぐっては、文部科学省が当初想定の2倍近い2520億円で建設する計画を6月29日に発表。JSC有識者会議も今月7日に了承した。しかし建設費が膨らんだことに批判が集中したため、安倍晋三首相が17日に計画を白紙に戻すと表明した。今年秋までに新たな整備計画を作り、年明けをめどにデザイン、設計業者、実施業者を選定。その後、設計や着工へと進め、2020年春までの完成を目指す。

 デザインや設計業務の約59億円とは別に、有識者会議の了承を受けて9日に大成建設と契約したスタンド部分の工事約33億円分については、JSC幹部は「資材調達していなければキャンセルできるはず」としている。(阿久津篤史)