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 2020年東京五輪の象徴となるはずだったエンブレムが取り消された。公表から1カ月、インターネット上では他の作品との「酷似」の指摘がやまず、「白紙撤回」に追い込まれた。ネット社会での徹底的な疑惑追跡に、「自由な発想にブレーキがかかる」との声もある。

 「お前ら大勝利!」「グッジョブ」。1日昼過ぎ、エンブレムの使用中止のニュースが流れると、インターネット掲示板「2ちゃんねる」は、疑惑を指摘してきた人たちをたたえる書き込みであふれた。

 大会組織委員会が7月24日にデザイナー佐野研二郎氏(43)の作品の採用を発表すると、ネット上では「(ベルギーの劇場のロゴに)似ている」といった書き込みが続いた。佐野氏は8月5日に記者会見で「盗用との指摘はまったく事実無根」と否定した。

 組織委は8月28日、盗用を否定するために、佐野氏の原案や、街頭でのエンブレムの使用イメージ画像を公表。武藤敏郎事務総長は「オリジナルだと確信している」と強調した。

 しかし、この会見が新たな疑惑を呼んだ。

 会見終了から約3時間後の28日午後6時半ごろ、ネット上に1通の書き込みがなされた。「展開例の写真も盗作だった?」。公表された使用イメージのうち、空港施設の画像は、外国人女性が東京・羽田空港を撮影してブログに掲載した写真を無断転用したのではないか、との指摘だ。

 「うわぁ……」「これはひどい」。書き込みはブログやツイッターで広がり、さらに原案のデザインが2年前に東京で開かれた展覧会のポスターに似ているとの指摘も続いた。疑惑の指摘をツイッターで転載した40代の男性は「多額の税金が使われる五輪なのに」。

 「土日のことが最大の問題だった」。武藤事務総長は、使用中止を発表した1日の会見で、28日の金曜日以降にネットで相次いだ指摘が中止決断のきっかけになったと説明した。組織委によると、佐野氏は「エンブレムは模倣ではない」としているが、イメージ画像については第三者の画像を転用したことを認めたという。

 展覧会のポスター、一般人のブログの写真――。ネットで疑惑を指摘する人たちは、どのようにして類似画像を見つけてくるのか。

 ネットに詳しい慶応大学大学院の田代光輝・特任准教授は「グーグルなどの画像検索機能や、『ピンタレスト』といった画像共有サイトを使ったのではないか」とみる。画像検索機能は、写真やデザインの画像データを貼り付ければ、類似画像が使われているサイトが表示される。「だれでも利用できるため、似たデザインや画像の転用疑惑が同時多発的に指摘された」と指摘する。

 エンブレムが発表されたのは、…

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