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 リビングで親子がテレビゲームを楽しむ。そんな光景を世界中でありふれたものにした任天堂の「スーパーマリオブラザーズ」が発売されてから、13日で30周年を迎える。シリーズのゲームソフトの販売数は3億本を超え、いまも人気は高い。経営が厳しい任天堂は、30周年にあわせた最新作で勢いを取り戻そうとしている。

 「マリオは特別だよ」。訪れた人たちが口々に言った。米ロサンゼルスで6月にあった世界最大のゲーム見本市「E3」。スーパーマリオの最新作を紹介する任天堂のコーナーには人があふれた。ロサンゼルスのゲーム制作者セルジオ・ジェームさん(29)は「マリオには独自のアイデアが詰まっている。ゲームの原点です」。

 第1作は1985年9月13日発売の「スーパーマリオブラザーズ」だ。家庭用テレビゲーム機「ファミリーコンピュータ」向けで、敵をジャンプして踏みつけたり、穴を飛び越えたりしながらゴールをめざす。宮本茂専務(62)ら数人のチームが1年足らずで完成させた。

 第1作から開発に携わる情報開発本部の手塚卓志・制作部統括(54)は「宮本はとても感覚を大事にしていました」と言う。穴には落ちたくない。トゲトゲのものを踏んだら痛い。そんな感情をゲームに取り込み、ハラハラドキドキの緊迫感を演出した。

 これに子どもも大人も、のめり込んだ。コンピュータエンターテインメント協会によると第1作の販売数は国内681万本で、海外もあわせると4024万本。ゲーム機が世界に広まるきっかけになった。

 米国のおもちゃの博物館「ストロング」は6月、第1作を「史上、最も影響力のあるゲーム」としてビデオゲームの殿堂に入る6作品のひとつに選んだ。

 立命館大学の細井浩一教授(コンテンツ産業論)は「ゲーム機の売れ行きを左右するのは優れたソフトだということを業界に浸透させた。これ以降のゲーム開発の見本になった」と評価する。