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 秋の味覚として親しまれているサンマ。最近は台湾や中国でも人気だ。日本に近づく前に大量に取られてしまうため、資源量が減ったという指摘もある。大切なサンマを守ろうと、日本は他の国・地域とルールづくりに乗り出した。

 今月上旬に東京都品川区であった恒例の「目黒のさんま祭り」。20回を迎えた今年は約7千匹のサンマが岩手県宮古市から直送され、旬の味を楽しもうと約3万人が訪れた。無料で振る舞われた塩焼きは3時間待ちの人気ぶりだった。

 漁業情報サービスセンターによると、今年のサンマの水揚げ量は21日現在で約2万4千トン。昨年の同じ時期(約4万4千トン)に比べて半分ほどとふるわない。9月に台風の影響で漁に出られなかったことや、日本沿岸に寄ってくる群れが少なかったことが影響したとみられている。

 札幌市中央卸売市場では、7月の初競りで1キロ7万円と同市場での最高値を記録。「ご祝儀相場」に水揚げ量の少なさが重なり、昨年の初競りの2・4倍に上った。9月も不漁のため高値が予想されたが、漁業情報サービスセンターの担当者は「平年並みか少し高い程度」と話す。小ぶりなサンマが多く、高値が付きにくいという。

 築地の鮮魚店「斉藤水産」の斉藤又雄さん(59)は「昔はでかいのが普通だったがこのところは寂しいよ」と嘆く。ここ数年は1匹200グラムを超える大型サンマが品薄で、160~180グラムが中心だという。

 さんま祭りで、サンマを焼く手伝いをしていた東京宮古同郷会理事の伊藤隆吉さん(65)も「この時期にしては体長が短く、太さももう一つ。大きいほうが脂がのるから小さくて物足りない」と話す。

 実は小さいだけではなく、サンマは大幅に減っているという。

 水産総合研究センターの説明では、2014年の北西太平洋のサンマの資源量は約253万トン。03年の約502万トンに比べて半減した。近海でサンマ漁をする日本にとっても大きな影響があるという。14年の漁獲量は約23万トンで、過去20年間でピークだった08年の約35万トンの3分の2にとどまる。

■資源管理の枠組みを協議

 日本近海のサンマが減った理由には、海水温の変化など諸説あるが、最近は外国漁船による公海での「先取り」が注目されている。

 北太平洋の公海に広く生息するサンマは、8月以降、日本沿岸に回遊してくる。鮮度を重視する日本では、沿岸の排他的経済水域内での漁が大半だ。

 ところが、資源管理のルールがない公海で、台湾が大量にサンマを取っている。14年の漁獲量は約23万トン。世界の国・地域別ではトップだ。中国の漁獲量も急増しており、同年の約7万6千トンは公海でサンマ漁を始めた12年の約38倍に上る。水産庁によると、ともに健康志向や魚食ブームで消費量が増えているという。

 一方、日本の13年の漁獲量約15万7千トンのうち、公海で取ったのは約8千トンにとどまる。岩手県の宮古水産物商業協同組合の島香尚組合長は「日本にサンマが近づく前に取られると、少なくなるのは当然だ」と心配する。

 水産庁によると、200トン未満の漁船で漁をする日本に対し、台湾や中国は1千トン規模の大きな漁船でサンマ漁をしているという。

 今月3日、日本が主導して、資源管理の枠組みを話し合う北太平洋漁業委員会(NPFC)の初会合を開いた。日本、中国、韓国、ロシア、台湾、カナダの6カ国・地域が、17年に資源量を維持できる漁獲量を調べた上で、新たな資源管理ルールを作るまでは許可漁船を急激に増やさないことで合意した。漁船への発信器の取り付けを義務化することや漁船の登録制度を導入することも盛り込んだ。

 水産庁は「各国・地域が法的義務を負う保存管理措置ができた」との立場で、NPFC後の記者会見では、林芳正農水相が「大事な海域なので、科学的根拠に基づいた調査で、適切な資源保護の主導的な立場を取りたい」と話した。(渡辺洋介)

■国際的に資源管理している主な魚

・クロマグロ 26の国・地域で話し合う中西部太平洋まぐろ類委員会(WCPFC)が、2015年から日本周辺を含む西太平洋で、30キロ未満の幼魚の漁獲量を02~04年の平均の半分に制限

・ニホンウナギ 日本、中国、韓国、台湾が15年の漁期から養殖に使う稚魚(シラスウナギ)の量を14年漁期より2割削減