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 7万を超す全国の寺院のうち、別の寺の僧侶が住職を兼ねていたり、住職がいなかったりして、常駐する住職のいない寺が、1万2千カ所にのぼることが、朝日新聞の調べでわかった。過疎・高齢化による檀家(だんか)の減少や住職の後継者不足などが要因で、今後「寺の消滅」が加速する可能性がある。

 文化庁の宗教年鑑(2014年版)によると、全国の仏教系宗教法人の寺院は7万5900。今回、全国の寺の約8割を占める主要10宗派(曹洞宗、浄土真宗本願寺派、真宗大谷派、浄土宗、日蓮宗、高野山真言宗、臨済宗妙心寺派、天台宗、真言宗智山〈ちさん〉派、真言宗豊山〈ぶざん〉派)に今年2月時点でこの10年間の所属寺の状況を尋ね、日蓮宗以外の9宗派から回答を得た(高野山真言宗は09年以降)。

 専従の住職がおらず、別の寺の僧侶が住職を兼ねる「兼務寺」は1万496、住職がいない「無住寺」は1569で計1万2065カ所(全体の約16%)。10年前の調査や記録がない真宗大谷派と高野山真言宗を除く7宗派では、10年前の計9104から803増えた。宗派別では曹洞宗、浄土宗、真宗大谷派の順に多く、真言宗の智山(ちさん)・豊山(ぶざん)両派、臨済宗妙心寺派は所属寺の3分の1にのぼる。

 兼務寺には、豊臣秀吉が長浜城の鬼門よけに移築し、国重要文化財の十一面観音像をまつる知善院(ちぜんいん、滋賀県長浜市)や、空海の創建とされ、小堀遠州作と伝わる庭園が有名な長楽寺(ちょうらくじ、浜松市)など、観光客が訪れる所もある。

 兼務・無住寺は経営が成り立たなくなると、宗教法人としての任意解散や吸収合併といった手続きを経て、消滅する可能性がある。今回の調査では、10年間で9宗派で計434寺が消えていた。

 寺の消滅は檀家にとって、先祖代々の墓の維持や葬儀・法事を託す先や、お盆など伝統行事の喪失につながる。浄土宗の中村在徹(ざいてつ)・総務局長は「地域コミュニティーの中心という寺も多い。なくなれば地域のつながりも消える。仏教界として最大の問題だ」と危惧する。(岡田匠)

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 〈住職〉 一般的に寺院の代表役員のこと。宗教年鑑(14年版)によると、主要10宗派の僧侶ら「教師数」は約9万3千人(うち女性は約9500人)で、10年前より約1万2千人減った。宗派によって異なるが、僧侶になるには剃髪(ていはつ)するなどして出家し、系列の宗門校などで学び、本山や専門道場で修行する。住職には世襲でなることが多いが、本山の推薦で後継者のいない寺に入ったり、先代住職の娘と結婚したりして住職になる場合もある。