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 厚生労働省は20日、東京電力福島第一原発事故後の作業に従事し、白血病になった元作業員に、労災を認定したと発表した。原発事故への対応に伴う被曝(ひばく)と疾病に一定の因果関係があるとして労災が認められたのは初めて。認定された北九州市の男性(41)は朝日新聞の取材に「他の作業員が労災認定を受けられるきっかけになればうれしい」などと語った。

 1976年に定められた放射線業務従事者の労災認定基準では白血病の場合、年5ミリシーベルト以上被曝し、最初の被曝を伴う作業から1年超経って発症した人は、白血病を引き起こす他の要因の影響が排除できれば労災が認められる。

 厚労省は20日の会見で、「今回の認定により科学的に被曝と健康影響の関係が証明されたものではない。『年5ミリ以上の被曝』は白血病を発症する境界ではない」とした。白血病の認定基準については「労災保険の精神に基づき、労働者への補償に欠けることがないよう配慮し、また、76年当時の一般公衆(住民)の被曝限度が年5ミリだった点も考慮した」と説明した。

 元作業員の男性は20日午前、労働基準監督署から労災認定の知らせを電話で受けたといい、「ほっとした」と話した。

 急性骨髄性白血病の診断を受けたのは2014年1月。福島第一原発から戻った約2週間後の健康診断でわかった。真っ先に3人の子どもと妻のことが頭に浮かんだ。「被曝が原因とは考えなかった」という。

 抗がん剤の治療で免疫力が落ち、重い感染症で一時は危篤状態に陥った。家族のために「死んでたまるか」と自らを鼓舞した。水を一口飲むだけでも吐き気がするなか体力をつけるため、みそ汁1杯を30分かけて飲んだこともあった。

 現在、病状は落ち着き、検査でがん細胞が検出限界以下の「寛解」状態になったが、再発の恐れは消えず、本職の溶接の仕事に復帰できるかもわからない。それでも男性は「被災地で何か役に立てればという気持ちで福島行きを決めた。後悔はしていない」と話す。

 知人からは、原発で長年働いた後に白血病になった元作業員が、勤務先から「(業務と白血病には)因果関係がない」と労災申請を断られた、という話を聞いた。「自分はラッキーだった。がんになった他の原発作業員が労災認定を受けられるきっかけになればうれしい。がんになった福島の人がもしいるのなら、ちゃんと補償を受けられるよう願っている」と語った。