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 古今東西、太古の昔から現在にいたるまで健康に関わる話題は事欠きません。例をあげると、「天ぷらとスイカを一緒に食べるとおなかをこわす」などといったトリビア的なもの、「食塩をたくさんとると循環器疾患になる可能性が増加する」などといった科学的根拠に基づくもの、「○○はがんに効く」といった、がん患者の方々には無視できないものまで、様々と思います。

 その中で人間は地域の長老や、医学の知識をもつ人々(医師・看護師など)からのアドバイスをうけて、要らない情報を捨て必要な情報を探し出し、これまで生存してきてきました。健康情報を必死で探すという意味では昔も現在も変わらないように思います。ただ一点、昔と大きく変わったことがあります。それがコンピューターの普及とインターネット環境の誕生です。

 コンピューター、スマートフォン、タブレット、携帯電話などインターネットに接続できる端末を個人が一台もつ世の中になった結果、インターネット空間に漂う様々な情報に多くの人がアクセスできるようになりました。実をいうと上に書かれた「天ぷらとスイカ」の例も、私が「食べ合わせ」と検索エンジンで調べて探し出した結果です。

 皆さん、ちょっとした疑問があったとき、ウィキペディアなどで調べただけで満足していませんか? そういう私もその一人です。また最近では、ネットショッピングをうまく活用すると、簡単に自分の希望にあう商品がすぐに手に入ることがあります。このようなネットを利用した生活を送っていると、まるでネットショッピングで自分に合った商品が見つかるように、自分に合った健康情報が見つけられそうな感じがしてきます。

 インターネットの恩恵は計り知れない半面、その情報の海に漂流している人も多いのではないでしょうか?「漂流」というと大げさですが、インターネットで調べていて、ときおり相反する情報がみつかることがあります。たとえば、「タバコは健康に無害である」とか「食塩をたくさん摂取することと循環器疾患とは関係がない」といった話がときどき流れます。わかりやすい例ですが、今では常識となっている知識に挑戦するような正反対で刺激的な情報です。

 そんな情報に直面し、悩んでいるうちに夜中になってしまった、なんて経験は皆さんありませんか? また医師の診察でのアドバイスとは異なる情報をマスコミから受け取って混乱したことはありませんか? 

 昔は医師をはじめとする医療関係者のみが共有していた情報も、現在では一般の人が比較的簡単に入手できる時代です。そのこと自体は好ましいと言えますが、逆に自分で決定しなければならない責任に押しつぶされそうな人も多いのではないでしょうか? そこまで大変な思いをしていなくても、日々更新される健康情報に戸惑っている人は案外多いのではないでしょうか?今回のコラムは私の専門である疫学の立場から、具体的は疫学研究を例にして、健全に健康情報を読み解く(解釈する)にはどうしたら良いか、情報提供できればと思っております。これからの連載、よろしくお願いいたします。

<アピタル:疫学でヘルシーチェック>

http://www.asahi.com/apital/healthguide/ekigaku/(アピタル・村上義孝)

アピタル・村上義孝

アピタル・村上義孝(むらかみ・よしたか) 東邦大学教授

東京大学大学院医学系研究科保健学専攻博士課程修了(保健学博士)。大分県立看護科学大学、国立環境研究所、滋賀医科大学を経て、2014年東邦大学医学部教授(社会医学講座医療統計学分野)。専門は疫学、保健統計学、大規模データベース研究(循環器疾患)や政府統計の高次利用の研究などに携わっている。