[PR]

 タトゥー(刺青〈いれずみ〉)を他人に施す行為は医師法違反か――。略式起訴された彫り師の20代男性が無罪を訴え、大阪地裁で異例の法廷闘争に踏み切る。タトゥーは「医業」とする捜査側に対し、技術の進歩や意識の変化にあっていないと主張。規制のあり方に一石を投じる裁判になりそうだ。

 大阪府吹田市のデザイナー増田太輝(たいき)さん(27)。昨年7月~今年3月、女性3人に店でタトゥーを入れたことが違法とされた。

 大阪府警は4月、タトゥー用具の消毒薬を売る業者の薬事法違反事件で関係先として店を捜索したが、取り調べ内容は途中から増田さんの医師法違反容疑に。8月、略式起訴された。

 増田さんは直前のニュースで、大阪・ミナミの有名店の彫り師5人が逮捕されたと知った。いったんは略式起訴を受け入れたが、「自分の仕事を犯罪と認めるのか」と疑問が募った。

 弁護士に相談し、法廷で争うと決心。9月に簡裁が出した罰金30万円の略式命令を拒み、正式裁判を申し立てた。12月25日から公判前整理手続きが始まる。

 戦前は彫り師を直接取り締まる規制があったが、1948年に引き継がれた軽犯罪法で消滅。一方、その年施行の医師法に「医師でなければ医業をしてはならない」との条文ができた。

 タトゥーを医業とする明文規定はない。厚生労働省は2001年、眉や目尻に墨を入れる「アートメイク」の苦情やトラブルが相次いだのを背景に、「針先に色素を付けながら皮膚の表面に色素を入れる行為」は医師しかできないとの通達を出した。「保健衛生上、危害が生じる恐れがある」との理由だ。

 警察当局はタトゥーにも当てはまると判断。兵庫県警が10年7月、彫り師を初めて医師法違反容疑で逮捕した。その後摘発された多くは暴力団関係者だった。