朝ご飯を食べていない子に、きちんと朝食を取ってほしい――。そんな願いから、福岡県内のある公立中学校が今年度から週2回、希望する生徒にパンやバナナなどを提供している。食品廃棄を減らす活動をするフードバンクなどから調達。食の大切さも子どもたちに伝えたいという。

 「はよ、来んね、1年生も食べに来んね!」

 昨年11月のある日の午前8時前。中学校の校舎1階の調理室前で、校長の声が響いた。ある生徒は1人で訪れ、ある生徒は友達と連れだって来た。

 この日のメニューは、パンと牛乳、コーヒー牛乳、リンゴ。校長と養護教諭がリンゴの皮をむき、教頭らがパンを皿の上に盛る。

 訪れたのは約30人。期末テスト期間中で朝の部活動がないためか、いつもの半分ほどという。子どもたちは友達との会話を楽しみながら、次々とパンを頰張った。ある男子生徒は「メロンパン2個食べました。テスト? ばっちりっすよ」。別の男子生徒は「今日は飲み専(牛乳を飲むだけ)です」。

 この学校がバナナなどの提供を始めたのは今年度から。1学期に週1回のバナナの日を設け、2学期からはパンの日も設定した。

 バナナは、輸入時の検疫検査でサンプルとして開封され、問題がなかったものを地元フードバンクを通じて輸入企業からもらう。週2千本近くが廃棄処分になるといい、こうした食品廃棄問題について、子どもたちに伝える取り組みも進める。パンや牛乳などは地元生協から。この中学校を担当する、スクールソーシャルワーカーの提案で始まった。

 狙いは、食の大切さを伝えるとともに、朝ご飯を食べていない生徒に食べさせること。校長は「朝ご飯を食べれば、午前中を爽快に過ごせる。集中力も上がる。まず身をもって知り、朝ご飯を習慣にさせたい」と話す。

 この中学校の朝食の欠食率は2割近くという。食べる時間がなかったり、食欲がなかったり、家庭の事情だったりと背景は様々だ。

 当初、「ますます家庭が何もしなくなる」「学校がすべきことなのか」と考えることもあった。だが、校長は言う。「目の前に食べていない子がいる。この子たちが大人になれば、その習慣が次の世代に引き継がれてしまう」