12月31日夜に生放送された第66回NHK紅白歌合戦で、初出場組の歌手たちがあこがれの舞台で喜びをかみしめた。

 紅組トップバッターの大原櫻子さんは「家族と一緒に見ていた番組でここに立っていることが幸せです」とあいさつした後に「瞳」を披露した。乃木坂46の生駒里奈さんは「歌い出しはすごく緊張したけど、副音声席のバナナマンさんが応援してくれたので、緊張だけでなく楽しい気持ちでできた。乃木坂が毎日やってきたことが無駄じゃなかったんだ、と思った。これから可能性を広げて、その結果を来年の2回目出場でかなえたい」と話した。

 白組では、高知県出身の演歌歌手・三山ひろしさんが「お岩木山」で紅白デビュー。ステージ裏で「最高の舞台になりました。偉大で、来年も来なきゃいけないなと思いました」と満足げに話した。同じく若手演歌歌手の山内惠介さんは「スポットライト」を歌った後、「親孝行させてもらいました。感謝の気持ちでいっぱいです」と涙ぐんだ。4人組ロックバンドのゲスの極み乙女。は「私以外私じゃないの」を披露。ボーカルの川谷絵音さんは「緊張しました。歌詞を間違えましたけどいい思い出。来年もまた戻ってきたい」と笑顔で話した。

 歴代司会者の中で最高齢の総合司会・黒柳徹子さん(82)は紅白模様のドレス姿で、開始直後に「エンターテインメントの決定版です!」とはしゃぎながらあいさつ。「声大きいですかね」と自身の声のボリュームを笑顔で心配しつつ、「ワクワクしております」と話した。

 白組トップバッターの郷ひろみさんは舞台袖から走りながら登場。ずらりと並んだ出場者をバックに「2億4千万の瞳―エキゾチック・ジャパン―」を歌った。舞台を終えた郷さんは「大役だったのでこけちゃいけないと。思い残すことないくらい最高のパフォーマンスができました」と話した。

 後半は放送中の朝の連続ドラマ「あさが来た」紅白特別編からスタート。あさ役の波瑠さんら出演者がステージに駆けつけ、NMB48がドラマの主題歌「365日の紙飛行機」を披露した。

 亡くなった漫画家・水木しげるさんを追悼する場面も。朝ドラ「ゲゲゲの女房」で水木さんの妻役を演じた女優の松下奈緒さんは、「本当にありがとうございましたという気持ちでいっぱい。改めてこの場所で感謝の気持ちを言いたいです」「天国でも大好きな漫画を描き続けているでしょうし、大好きな奥様を見守っていてほしい」とコメント。いきものがかりが歌う「ありがとう」を聴きながら目をうるませた。

 スペシャルコーナー「ザッツ・SHOWTIME~星に願いを~」では、ミッキーマウスらディズニーキャラクターが大集合。司会の綾瀬はるかさん、井ノ原快彦さん、V6、Perfumeとともに「星に願いを」、「夢はひそかに」を歌い、盛り上げた。

 今年3月でAKB48を卒業する高橋みなみさんにとって、紅白はAKB48として最後の音楽番組出演となる。プリンセス天功さん監修のイリュージョンを披露した後には、OGの前田敦子さんと大島優子さんがサプライズ登場した。「聞いてない」と驚き、「最後のステージですが、こうしてみんなと歌えて幸せです」とコメント。涙を流しながら「フライングゲット」や「ヘビーローテーション」を歌った。前田さんは「サプライズが成功してよかった」。大島さんは「たかみなが最後だから、喜んでくれてうれしかったです」。

 特別企画「震災から5年 花は咲く」では仙台出身の羽生結弦選手が登壇。「X JAPAN」のYOSHIKIさんによるピアノ演奏にあわせて出場歌手とともに「花は咲く」を熱唱した。

 デビュー20周年を迎えたV6は2年連続2度目の出場。「ザッツ!V6メドレー」と題し「MUSIC FOR THE PEOPLE」「愛なんだ」を歌った。応援で登壇した近藤真彦さんは「ひとりひとりが力をつけてきて、そろった時には6人以上のパワーを感じる。頼もしくなりましたね」と感慨深げにコメントした。

 “ラスボス”こと小林幸子さんが登場する特別企画を前に、審査員の所ジョージさんは「間違いなく名場面になる」と期待。前日のリハーサルで衣装が故障するというハプニングを乗り越え、ニコニコ動画と連動した演出でわかせた。

 18年ぶりに出場した「X JAPAN」は「Forever Love」「BORN TO BE FREE」の2曲を熱唱した。

 戦後70年企画では吉永小百合さんがビデオメッセージを寄せ、「歌を通じて平和を伝えてほしい」とコメント。その後、MISIAさんが長崎市の平和公園から中継で「オルフェンズの涙」を歌った。

 美輪明宏さんが歌う「ヨイトマケの唄」の紹介で黒柳さんは「戦争が終わったとき私は中学生でした。ヨイトマケのお母さんが、お父さんのため、子どものためと働く姿を見てきました。ヨイトマケの唄を聴くとあの頃を思い出して背筋がピンとします」と語った。 20年ぶりに再結成したレベッカは「フレンズ」を熱唱。ボーカルのNOKKOさんは「(ライブの)会場に来れなかったみなさんに、この場を借りて歌を届けたい」と話し、舞台に臨んだ。

 紅白歌合戦からの引退を発表していた森進一さんが選んだのは「おふくろさん」。曲紹介を前に、司会の井ノ原快彦さんがこれまでの出場を振り返り、舞台には藤あや子さんや石川さゆりさんら演歌歌手が駆けつけた。ピンク色のスーツに身を包んだ森さんは、目を潤ませながら熱唱、最後には「かあさん」と叫んで歌いきると、会場は大きな拍手に包まれた。NHKによると、48回連続出場という森さんの記録は過去最多だという。

 結果は紅組が優勝した。終演後の舞台裏で近藤真彦さんは「緊張感があって良かったです」。「X JAPAN」のYOSHIKIさんは「久しぶりに気合が入りましたね。日本に来たっていう気がしました。来年もお呼びがあれば、日本に帰ってきます」と話した。ゲスト審査員も満足した表情で会場をあとにした。土屋太鳳さんは「魂のこもったすごいすてきな経験をさせていただいたので、来年に生かします!」。羽生選手は「すごい緊張しましたけど楽しかったです。ありがとうございました」。又吉直樹さんは「楽しかったです。相撲は、負けました」とそれぞれ笑顔で会場を後にした。

 司会の綾瀬さんと井ノ原さんは終演後、報道陣の取材に応じた。綾瀬さんは「すっごくうれしいです! 初めてと1回経験したあとでは違った。すごく楽しめました」。井ノ原さんも「勝ち負けでいったら負けちゃったけど、でも楽しかった。なんとか2人でやれました」と疲れた様子も見せず、充実した表情で振り返った。