国の経済規模を示す国内総生産(GDP)の計算方法が来年、日本で変わる。日本のGDPに算入されていない企業の研究開発費などが、2016年7~9月期の2次速報から新たに算入される見通し。名目GDPは現在の約500兆円から3%以上、金額にして15兆円以上増える見込みだ。

 GDPは各国の経済活動を比較できるように国際連合が定めた国際基準に基づいて計算されている。国連が09年、この国際基準を16年ぶりに改定したのを受けて、その直後から内閣府が新基準に対応した計算方法を導入する準備を進めてきた。計算方法の見直しは主要国の中では遅い方だ。米国や英国などすでに新基準に移行した国ではGDPが2~4%押し上げられた。

 増額分のほとんどを占める見込みなのが研究開発費だ。いまは新製品の試作に使う材料費や人件費、ソフトウェア開発費などは「コスト」とみなされ、GDPに算入されない。改定後はそれらを新たな技術や製品を生み出す「資産」ととらえ、工場の建設や生産機械の購入などと同じ「設備投資」の枠に加える。日本の製造業は海外に生産拠点の移転を進める一方、将来の競争力の源泉となる研究開発の拠点は国内にとどめる傾向が強く、GDPの上積みが見込める。規模は小さいが、特許の使用料、不動産の仲介手数料、政府の戦車・艦艇の購入費などの項目も新たに算入される。

 安倍晋三首相は9月、名目GDPを20年ごろに600兆円に引き上げる目標を掲げた。新たな計算方法の導入はその前から決まっていたものだが、改定はGDPの上積みに寄与する。内閣府の試算では、改定で15兆円の上積みがあれば、名目で年率3%程度の経済成長を続けることを前提に21年に達成可能としている目標を、1年前倒しできる計算になる。

 ただ、名目3%という成長率はこの20年、一度も超えたことがない数字だ。経済界にも「あり得ない数値」などと目標を疑問視する声がある。今月発表された7~9月期の2次速報でも、名目成長率は年率で1・6%増にとどまる。SMBC日興証券の宮前耕也シニアエコノミストは「日本経済の実力を高めなければ持続的な高成長はできない。労働力を急に増やしたり、生産性をすぐに高めたりするのは難しく、改定があっても、目標達成は厳しいのでは」と指摘する。(大内奏)

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 〈国内総生産(GDP)〉 四半期ごとなど一定期間に国内で新しく生み出されたモノやサービスの付加価値の総額を表す統計で、国の経済規模を示す指標。主要国のGDPは国連が定める国際基準に基づいて算出されている。GDPの主な項目は、個人消費、公共投資、設備投資、輸出など。物価変動の影響をのぞいた実質GDPと、物価変動の影響を含めた名目GDPがある。