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 作者はホームレス――路上生活をしている、またはその経験があることを応募資格とした文学賞がある。11月末に第4回の受賞作品が発表された「路上文学賞(路文)」。主催者は、作品を通じてホームレスと社会が触れ合うことを目指している。

 「ああそうだったのか。ゆうべは人がかわったように楽しく酒をのんで、いつもなら自分の事はけっして言わない男が、ゆうべにかぎってふるさとの妹や姉さんのことなどよく話したなぁーあれがこの世の話し終りだったのか」(原文のまま)

 今回、大賞に選ばれたペンネーム川岸生男さんの作品「ネコと一人の男と多摩川」の一節だ。東京都と神奈川県境を流れる多摩川沿いの別名「多摩川村」で、集めたアルミ缶を売りながらネコの花子と暮らす缶太郎が主人公。缶太郎は「川岸から4mぐらいの高さのちょっと川中にせり出した所」に暮らして8年になる。ここでは「一年を通していろいろな出来事が流れて行く」。自殺した友人と直前まで一緒に過ごした缶太郎の心象は、川岸さんの体験に基づく。

 選考した小説家の星野智幸さん(50)は「多くの人に見えているのに意識されない生と死が、こんなにも大きな存在感を持って描かれたことに感銘を受けました」と選評を贈った。川岸さんは「世間から差別されようと、命の重さに変わりがないことを訴えたかった。作品の真意をくみ取ってもらえたことが何よりうれしい」と受賞の喜びを語った。

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