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 2020年東京五輪・パラリンピックの主会場となる新国立競技場の建設計画で、事業主体の日本スポーツ振興センター(JSC)は14日、二つの企業グループから設計・施工の応募があったことを明らかにし、外観イメージ図や総工費などを記したそれぞれの「技術提案書」を公表した。両案とも工費は1500億円を下回り、19年11月に完成できるとした。事業者は年内に決定する。

 JSCは審査への影響を理由に業者名を公表していないが、関係者によると、応募したのは大成建設・梓設計・建築家の隈研吾氏のチームと、竹中工務店・清水建設・大林組の共同企業体と日本設計・建築家の伊東豊雄氏のチームの2者。両案とも日本らしさを打ち出し、周辺環境と調和する「杜(もり)のスタジアム」というコンセプトを掲げている。

 JSCが「A案」とした計画は工費約1490億円で、屋根には日本建築の「垂木(たるき)」を想起させるデザインを採用。木と鉄を組み合わせて「伝統的な和を創出する」としている。高さは49・2メートルに抑えた。

 「B案」は工費約1497億円で、72本の木製の柱が、白磁の器のようなスタンドを支える構造。遺跡をイメージした外観で「新しい伝統の創出を目指す」としている。いずれも、観客席は、五輪開催時は約6万8千席で、大会後には、サッカーのワールドカップ(W杯)の誘致を見据え、約8万席に増設する計画。関係者によると、A案が大成建設側、B案が竹中工務店側という。

 7月の旧計画の白紙撤回を受け、JSCは設計と施工を一体として新たに業者を募集。新整備計画では工期と工費の抑制に重きを置き、工費は上限1550億円(別発注分22億円を含む)、完成期限を20年4月と設定。国際オリンピック委員会(IOC)が求める20年1月を工期短縮目標とした。両案はともにこれらの条件をクリアしており、JSCは「実現可能性は確認済み」としている。

 今後、第三者で構成するJSCの審査委員会(委員長=村上周三・東京大名誉教授)が19日に非公開で両チームからヒアリングを行い、7人の委員が1人140点満点で審査。結果を基にJSCの大東和美理事長が選び、関係閣僚会議を経て年内に最終決定する。

 新国立競技場の建設を巡っては当初、建築家ザハ・ハディド氏の作品を採用。「キールアーチ」と呼ばれる2本の巨大なアーチと流線形が特徴的だったが、建設費は約2651億円まで膨らみ、白紙撤回された。今回の2案は、JSCが「周辺環境と調和し、我が国の気候、風土、伝統を現代的に表現する」と示した整備への考え方を反映した内容となった。

 JSCは今週中に競技団体や選手の意見を聞くほか、ホームページを通じて国民の意見を募る。点数化はせず、参考にとどめる。(阿久津篤史)