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 姓についての制度のあり方は国会で論じ、判断するものだ――。民法の「夫婦同姓」を合憲とした最高裁大法廷の判決は、「選択的夫婦別姓」を含めた議論を国会に促した。15人の裁判官のうち、3人いる女性全員を含む5人は、違憲だとする意見を述べた。だが、この問題に向き合うべき政治の腰は重い。

 5人の裁判官は、女性の社会進出などの時代の変化を踏まえて、この規定の問題点を指摘した。

 岡部喜代子裁判官は「制定当時は合理性があったが、女性の社会進出は近年著しく進んだ」と指摘。「改姓で個人の特定が困難になる事態が起き、別姓制度の必要性が増している」と述べた。この意見には桜井龍子、鬼丸かおるの2人の女性裁判官も賛同した。桜井氏は旧労働省出身で、官僚時代は旧姓を通称として使用していたが、最高裁判事に就任後、裁判所の決まりに従って戸籍名を使っている。

 10人の裁判官による多数意見が「旧姓の通称使用で緩和できる」としたことに、3人の女性裁判官は反論した。「(改姓が原因で)法律婚をためらう人がいる現在、別姓を全く認めないことに合理性はない」。女性のみが自己喪失感などの負担を負っており、例外規定を認めないことは憲法が保障する「個人の尊重」や「男女の平等」に根ざしていない、と断じた。

 一方、弁護士出身の木内道祥裁判官は「同姓以外を許さないことに合理性があるか」という点から意見を述べた。同姓のメリットとして「夫婦や親子だと印象づける」「夫婦や親子だという実感に資する」などの点がある一方、「同姓でない結婚をした夫婦は破綻(はたん)しやすい、あるいは夫婦間の子の成育がうまくいかなくなるという根拠はない」。例外を許さないのは合理性がない、と結論づけた。

 同じく弁護士出身の山浦善樹裁判官はただ1人、「違憲」とするだけでなく国の損害賠償責任も認めるべきだ、と踏み込んだ。法相の諮問機関「法制審議会」は1996年、選択的夫婦別姓を盛り込んだ民法改正案を示し、国連の女性差別撤廃委員会も2003年以降、繰り返し法改正を勧告してきた。こうした点を挙げ、「規定が憲法違反だったことは明らかだった」と国会の怠慢を指摘した。

 一方で、多数意見は「夫婦同姓は家族を構成する一員であることを対外的に示し、識別する機能がある」「嫡出(ちゃくしゅつ)子が両親双方と同姓であることにも一定の意義がある」などと述べた。

 この意見に賛同した寺田逸郎長官は補足意見の中で、「多様な意見を司法はどこまで受け止めるべきか」を論点にあげた。「選択肢が用意されていないことが不当、という主張について、裁判所が積極的に評価することは難しい」。姓のあり方を考えることは「社会生活への見方を問う、政策的な性格を強めたものにならざるを得ない」からだという。「むしろ国民的議論、民主主義的なプロセスで幅広く検討していくことが、ふさわしい解決だと思える」とした。(河原田慎一)

■自民、別姓導入に後ろ向き

 「姓」のあり方について最高裁…

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