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 部落差別の解消に向けて運動してきた部落解放同盟愛知県連合会(吉田勝夫委員長)が今年、結成40年を迎えた。生まれた場所などで忌避される部落差別。国や自治体に働きかけて、住環境などの改善や啓発を進めてきた。差別の実態は見えにくくなったが「様々な日常の場面で差別は残っている」と解放同盟県連幹部は話す。

 名古屋市で居酒屋を経営する山本義治さん(38)は今年6月、生まれ育った地域で親しんできた料理をメニューとして紹介した。とたんに離れた客がいた。ふるさとは被差別部落とされた地域だ。

 「またか。まだ差別は残っているんだな」と感じた。「出身地を恥じることはない」という信念に基づく行動だったから、メニューはそのままで「スタイルは変えない」と言う。「生身の人間を見て、つきあってほしい」

 県西部の男性(40)は、小・中学生の娘2人には自分が結婚した時の体験を、まだ伝えられていない。

 20代の頃、妻にプロポーズした際「できないかもしれないよ」と出身地を告白された。自分の両親には「親族の結婚の妨げになる」と認められず、家を出た。披露宴に男性の両親や親族の姿はなかった。

 「結婚したい人と一緒になれたことが一番幸せ」と結婚は後悔していないが、娘たちには「いつか言わなきゃとは思う。だけど、娘の友だちやその親の反応が怖い」。

 同和対策事業特別措置法に基づき、1969年に環境改善が必要な地区に指定された県内のある地域では80~90年代、約4割が共同住宅に建て替えられた。1棟で2世帯用の共同住宅が軒を連ねる。消防車も入れない狭い道は一部残るが、主な道は広げられた。

 こうした状況を受け、全国地域人権運動総連合議長の丹波正史(せいし)さん(68)は「差別は全くなくなったわけではないが、部落差別の問題は大きく克服した」と話す。同団体は、解放同盟から運動方針を巡り分立した全国部落解放運動連合会(全解連)を受け継ぐ。全解連は2004年、「社会問題としての部落差別は解消した」として解散した。

 だが、この地区より、隣接する他の地区の路線価は2・5倍も上回る。付近の不動産会社は「まず購入する人がいない。価格の差より価値は低い」と明かす。

 07年には、被差別部落として地名などを掲載したホームページ「B地区にようこそ!in愛知県」の作成者が名誉毀損(きそん)の疑いで逮捕される事件が起きた。インターネット上には今も、差別的な書き込みが絶えない。解放同盟では、書き込みを見つけるたびに削除依頼などの対応を続ける。

 解放同盟県連の支部長加藤吉雄(きちお)さん(70)は、最近知り合った人に出身地を明かすと「あそこの人には見えんね」と言われた。「胸を張ってふるさとを語れないことがどれほど悲しいか。自分に置き換えて考えてほしい」(小若理恵)

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