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 第2次大戦末期、日本占領下の中国・北京で刊行されながら、存在が歴史に埋もれていた日本語総合誌が見つかった。タイトルは「月刊毎日」。確認された計8号に掲載されている大佛(おさらぎ)次郎、壺井栄らの小説13作、斎藤茂吉や佐藤春夫らの詩歌には、新発見や後の作品の原型と見られるものもある。言論統制が敷かれる中、体制に批判的な作品や時局を直視する評論も載っていた。

 「月刊毎日」は1944年11月号から45年8月号まで、毎日新聞北京支局内の「月刊毎日社」が発行していた。立教大学の石川巧教授(日本文学)が昨夏、熊本市内の古書店で45年1月号を見つけた。国会図書館などの国内の資料保存機関には所蔵されず、毎日新聞にも記録が残っていなかった。北京大学で調べると、45年5、6月号を除く8号分が現存していたという。

 巻頭言に「必勝の信念」をうたうなど、記事は大政翼賛的な言論に彩られている。一方で、第1回芥川賞作家の石川達三の小説「沈黙の島」(45年8月号)は、指導者が民の言葉を奪った架空の島を描く。民は暴動を起こすが、鎮圧されると怠惰になった。島は荒廃し、民主政治を進める別の島に治められる。壺井栄「村の運動会」(45年1月号)には、弟の戦死を率直に嘆く女性らが描かれていた。尾崎士郎「バタアン残月」(同)は日本軍の全滅と自殺する指揮官を描き、後の代表作に組み込まれたものだった。

 戦前から戦中にかけ、多くの新…

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