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 出生数が減る一方、死亡数が増え続ける日本。葬祭ビジネスに注目する企業は多く、個性的なデザインで知られる乗用車メーカー光岡自動車(富山市)もその一つだ。新型霊柩(れいきゅう)車を発売したばかりの同社を訪ねた。

 田園地帯の静かな工場に、時折、バチバチッと溶接の火花が飛ぶ。12月中旬、富山市婦中町の工場には製造途中の霊柩車が並んでいた。

 塗装前の霊柩車の骨組みには「継ぎ目」がある。光岡自動車はトヨタや日産の市販車を改造して霊柩車をつくっているが、柩(ひつぎ)を載せるには車体を長くする必要がある。そこで、まず新車の真ん中か後部を電動ノコギリで切断し、その間に骨組みを継ぎ足してボディーを延長するのだ。社員の一人は「新車を切断するので緊張しますね。失敗が許されませんから」と話す。

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 光岡自動車は1990年代前半から霊柩車販売を手がけてきた。光岡太進(たいしん)取締役(47)によると、当初は、リンカーンやキャデラックなどの高級車をベースにした霊柩車を米国から輸入・販売していたという。

 霊柩車は、神輿(みこし)のような豪華な「お宮」を載せた伝統的なタイプを宮型、輸入車のように屋根装飾のないタイプを洋型と呼ぶ。国内では宮型が主流だったが、お宮部分だけで1千万円超のものもあり、90年代前半は比較的安く、高級感もある洋型に人気が移りつつあったという。

 ただ、輸入車は部品の取り寄せに時間がかかるなどアフターケアに難があった。90年代後半になると、トヨタのクラウンなど国産高級車ベースの洋型霊柩車が台頭したため、輸入・販売は数年でやめたという。

 再び霊柩車を手がけるようになったのは2002年。光岡自動車の乗用車が霊柩車に改造され、街を走っているのを社員が見かけたのがきっかけだった。光岡取締役は「私たちにもできるのではないかと考えた」。以来、富山市の工場で受注生産を続ける。