【動画】皇居内を散策する天皇、皇后両陛下=宮内庁提供(音声はありません)

 天皇陛下は23日、82歳の誕生日を迎え、これに先立ち記者会見した。戦後70年の今年を「様々な面で先の戦争のことを考えて過ごした1年」と振り返り、年々戦争を知らない世代が増えるなかで「先の戦争のことを十分に知り、考えを深めていくことが日本の将来にとって極めて大切なことと思います」と話した。

 天皇陛下は、会見の半分ほどの時間を使って戦争や平和への思いを語った。民間人の犠牲が大きかったことに触れ、「平和であったならば、社会の様々な分野で有意義な人生を送ったであろう人々が命を失ったわけであり、このことを考えると非常に心が痛みます」と述べ、民間船員の犠牲に言及した際には感極まった様子で言葉を詰まらせた。(島康彦、伊藤和也)

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■戦後70年、思い切々と

 82歳の誕生日を前に、記者会見に臨んだ天皇陛下。戦後70年の節目が終わろうとする年の瀬に、戦争や平和に対する思いを切々と口にした。

 天皇陛下は戦時中、民間人の犠牲が大きかったことに触れ、代表例として民間の船員を挙げた。戦時中、軍に徴用され、物資の輸送や監視業務にあたった民間船は軍艦に守られることもなく海に沈んだ。船員の犠牲は6万人を超え、3割は20歳未満の少年だった。天皇陛下は長く思いを寄せ、神奈川県横須賀市の慰霊碑に7回足を運んでいる。

 天皇陛下はそうした「外国航路の船員になることも夢見た人々」が犠牲になったと紹介。「制空権がなく、輸送船を守るべき軍艦などもない状況下でも輸送業務に携わらなければならなかった船員の気持ちを本当に痛ましく思います」と話す際は声がかすれ、思いがあふれたように見えた。幼少時に楽しんで見ていた絵はがきにあった船は、その大半が海に沈んだことを後に知ったとも明かした。

 4月に慰霊に訪れた太平洋戦争の激戦地・パラオ共和国については、海に無数の不発弾が沈み、処理に大変な時間がかかることを知ったとして「先の戦争が島々に住む人々に大きな負担をかけるようになってしまったことを忘れてはならないと思います」と述べた。

 一方、今年の喜ばしい出来事として大村智、梶田隆章両氏のノーベル賞受賞を挙げた。関東・東北豪雨などの自然災害については「困難に遭遇している人々を助けようという気持ちが日本人の中に豊かに育っていることを非常に心強く思います」と述べた。

 自身については「年齢というものを感じることも多くなり、行事の時に間違えることもありました」と明かし、「一つひとつの行事に注意深く臨むことによって少しでもそのようなことのないようにしていくつもりです」と語った。8月の全国戦没者追悼式でお言葉のタイミングを誤ったり、10月の全国豊かな海づくり大会で式典中に段取りを確認したりしたことが念頭にあったとみられる。

 宮内庁が、天皇陛下の公務を同年齢時の昭和天皇と比較したところ、都内や地方への訪問は約2倍、赴任大使との面会などは約5倍だった。天皇陛下は公務負担の軽減について「しばらくはこのままでいきたい」との意向を示しているが、宮内庁は負担軽減策を模索している。