[PR]

 大阪・ミナミの大丸心斎橋店本館が建て替えのため、30日にいったん閉館する。26日から最後の売り納めセールも始まった。米国出身の建築家ウィリアム・メレル・ヴォーリズの代表作として保存運動も起きたが、外壁と内装の一部を除いて解体される。大正モダンの名建築と共に歩んできた従業員らは、別れに様々な思いを抱く。

 本館の東南玄関で元社員の板東勲さん(72)の写真展が29日まで開かれている。世界各地の街角で「人の顔」に見える建造物の装飾を撮ってきた。60枚のうち13枚は本館のエレベーターの針や階段の柱などだ。

 「中2階への裏階段の柱にも六角形の装飾がある。隅々まで趣向が凝らされた内装です」

 故郷・徳島の中学の修学旅行で初めて本館を訪れた。雪の結晶のような装飾の金色に光るエレベーター扉の上で、ステンドグラスが輝く。帽子姿のエレベーターガールの優雅なお辞儀。「気後れするほど晴れがましかった」

 大丸で30年間、包装紙や商品のデザインを手がけた。人通りが少ない大理石の裏階段を駆け上がるのが好きだった。

 御堂筋側の外壁が残るのはうれしい。「願わくばほかの所も残してほしい」と思うが、元社員として「仕方ない」と受け止めてもいる。「ヴォーリズの忘れ形見を写真におさめつつ、この目にも焼き付けました」