[PR]

■イチオシ RIO2016

 リュックを背負った幼い兄弟が両親に手を引かれ、カップルは土産を抱えて笑い合う。クリスマスイブの先月24日。にぎわう羽田空港で、渡部香生子(わたなべ・かなこ、19)=JSS立石=は大きなスーツケースを押していた。目的地はグアム。年始にかけて、暖かい南国で泳ぎ込むためだ。

 「レース後半の持久力を強化したい。自分に足りないことだと思う」。つらいスタミナ練習は、これまで嫌いだった。

 ロシア・カザニで開かれた2015年夏の世界選手権は女子200メートル平泳ぎを2分21秒15で金、200メートル個人メドレーは日本新記録で銀。日本競泳陣でただ1人、複数のメダルを手にした。きつい練習をいとわなくなった気持ちの変化は、エースとしての自覚の芽生えから来ているのか?

 「そういうのじゃないです」。淡々と、しかし、きっぱりと否定された。

 金メダルを首から下げた3週間後には、喜びなど消えていた。ジュニアの世界選手権の女子200メートル平泳ぎで、日本人が出したことのない2分19秒台をトルコの選手がマークしたから。カザニでの渡部の優勝タイムより1秒半ほど速かった。「しっかり取り組まないと、タイムが伸びていかない」と発奮した。

 体の弱い女の子だったという。幼稚園児のときはよく熱を出し、年に30日以上欠席した。少しでも丈夫になって欲しいと、両親はスイミングスクールに通わせた。母の恵美子さん(48)によると、水泳を習い始めたころ、足が届かないプールでおぼれた。「やめてしまうだろうと思うくらい、暴れた」と恵美子さん。だが、ケロリとプールに通い続けた。