東京都が6年後、小学校入試の「お受験」に参入する。公立初の小中高一貫校をつくり、入試で選んだ子どもを「エリート」に育てる考えだ。私立側には早くも、学費が格安なライバル出現を懸念する声がある。

 「世界で活躍し、日本の将来を担う人材を育成する」。都教育委員会の幹部らでつくる一貫校新設の検討委員会は、一貫校の目標をこう掲げている。

 2022年度開校を目指す一貫校の看板は、「英語教育」。小学校低学年から外国人が指導し、中学・高校では英語で論文を書いたり、議論したりする力をつける。海外留学にも力を入れる考えだ。他の教科も土曜授業などで授業数を増やし、中学の内容を小学校で教えるなどの「先取り教育」をする。

 児童は入試で選ぶ。ただ、小学校の入試に受かった全員が高校まで進めるわけではなく、中学入学時には小学校の成績を踏まえふるい分けるという。

 元々発案したのは猪瀬直樹前知事。「理数系人材の育成」を掲げたが、「幼児段階で理数系の才能を評価するのは困難」などと疑問視され、猪瀬氏の辞任もあって頓挫。その計画が内容を変えて復活した。「都立ブランド向上の一助になれば」と都教委幹部はいう。

 都立校では、日比谷高校などが難関大への合格者数の多さを誇っていたが、1970年ごろから私立が優勢に。都教委は03年の学区制撤廃などで挽回(ばんかい)を図り、05年から都立中高一貫校を10校新設した。授業料が格安で、毎年東京大などへの合格者を出しており、応募倍率は5~7倍ほどと人気だ。そこに今度は小学校も加え、「子どもの資質や能力を一層伸ばす」(都教委幹部)という。別の幹部は「私立に通えない低所得層の受け皿としても公立の一貫校が必要」と話した。

 新設校は、都立中高一貫校の立川国際中等教育学校(立川市)に付属小を設ける形で開校する予定。教育委員からは「都立にしかできない学校像が見えない」など異論も出たが、検討委は「公立校の新たな教育モデル」にしたい考えだ。

 文部科学省によると、公立小が入試を行うことは、法令上問題ないという。担当者は「東京など財政力のある自治体に限った動きだろう。現行の『6・3・3』より良い学制を探る例として注視する」と話す。

■格安の学費、戸惑う私立