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■イチオシ RIO2016

 その話を耳にしたのは、2014年夏のウィンブルドン選手権だった。

 「上地(かみじ)さん、ロンドン・パラリンピックでテニスをやめるつもりだったらしい」。顔なじみのテニスライターから聞かされた。

 当時20歳だった上地結衣(21)=エイベックス=は、すでに車いすテニス女子の世界ランキングで1位に駆け上がっていた。

 20年東京パラリンピックをアスリートとして心身とも充実した年齢となる26歳で迎える。私は勝手に、自国開催のひのき舞台での金メダルをめざして、迷いなく突き進んできたのだろうと思い込んでいた。

 日本女子の第一人者は、どんな思いでテニスと向き合っているのか。逆に興味が湧いた。

 「ロンドン・パラリンピック前までは、高校を卒業したら大学で外国語や国際関係を学ぶとか、就職して裁判所の事務官になるとかを考えていました」

 テニス専念を決めた理由は、「ロンドンで他競技の日本選手を応援して、同じ日本代表の立場で応援できるのが楽しかったから」。

 少し意外な答えだった。ロンドンではシングルス、ダブルスともベスト8止まりだった。悲願のメダルへの思いが再挑戦への気持ちを駆り立てたのだろうと単純に想像していた。