[PR]

■水木しげるさんの妻・武良布枝さんのあいさつ

 このたびは夫、水木しげるのためにこれだけ盛大な会を催して下さり、また多くの皆様のお越しを頂き、誠にありがとうございます。深く感謝申し上げます。

 主人は日頃から「オレは百歳までいけるだろう」と淡々と申しておりました。私もそう思っておりましたが、93歳であっと言う間にあの世へ行ってしまいました。

 昨日1月30日は、偶然にも私たちの五十五回目の結婚記念日でした。

 縁あって主人と一緒になりましたが、結婚当初から強く感じたことは夫の、作品に対する熱意です。これに私はただただ圧倒されました。

 読む本は山ほど、それらを読みこなして、それからストーリーを考えてと、その経過を目の当たりにしておりましたが、それはもう、ものすごい迫力でした。声をかけることをためらうこともしばしばでしたが、作品に対する情熱はただ者ではないと思っておりました。その積み重ねで多くの作品を書くことができ、さらに皆様に認めていただき、温かく支えていただき、今日に至った、と思います。支えて頂いた皆様に心から改めて感謝申し上げます。

 でも主人の作品はまだ未完成だったのでは、とこのごろ思えてなりません。主人にはまだ書きたいことが山ほどたくさんあったと思います。あれだけ資料を積み重ね、読みこなしていたのですから、まだ頭の中にはたくさんの構想があったと思います。それらが日の目を見なかったことはとても残念でございます。

 とはいえ今、主人がいる「あちらの世界」にはきっと漫画のタネがたくさんあって、本人はさらに新しいストーリーをたくさん思いついていることでしょう。

 だって、生前から妖怪やあの世とはとても親しかったのですから。発表できなかった作品だけでなく新しい漫画をあの世の読者に読んでもらっているかも知れません。きっとそうだ、と思っております。

 皆様、生前は水木しげるを温かく見守っていただきまして、本当にありがとうございました。今、主人もきっとこの会場にいて、皆様に感謝申し上げていると思います。ありがとうございました。

 はなはだ簡単ではございますが、お礼のご挨拶とさせていただきます。