■18歳をあるく

 JR京都駅近くのビルに昨年の暮れ、学生が集まった。最高経営責任者を示すCEOの肩書をもつ6人が次々と発表していった。スマホの買い物アプリ、防犯サービス……。手がける事業に拍手がわいた。

 最年少は今年18歳になる大阪府立高2年、小山優輝さん。プログラミング教室を運営して2カ月になる。「1年間で拠点を4カ所増やしたい」。強気の発言に、会場はどよめいた。

 教室は自宅近くの貸しオフィス。初日は、小1の女児(6)がパソコンを手に、母親と訪れた。「高校生が先生?」。最初は驚かれるが、お兄さんのように教えるスタイルが好評だ。受講料は3日間で7500円。4人の子が参加した。「また企画してね」と声がかかり、ほっとした。

 高1の秋だった。あこがれの起業家を招いたビジネスコンテストが東京であると知って駆けつけた。「芸能人に会いに行くノリでした」。応募600人のなかで、得意のプログラミングと英語の教室を提案した。ベンチャー経営者らから苦労話を聞いたり、助言をもらったり。賞金100万円を手にして、教室を開いた。初期費用はスタッフのTシャツ代くらいだ。

 生徒様、顧客満足、教材開発……。ビジネス用語がポンポン飛び出す。「高校生という武器が使えるうちに確かな実績をつくりたい」。教室はいずれ、法人にするつもりだ。

 起業する若者を後押しする場所をホットスポットという。産学官連携に熱心な大学の周辺、ベンチャーが多い地域……。小山さんにとってはビジネスコンテストだった。人脈や資金、ノウハウなど創業のエネルギーをもたらしてくれるという。

 日本政策金融公庫の斎藤健一さんは「実感として、コンテストものが増えています」と話す。1月の「高校生ビジネスプラン・グランプリ」も応募が2333件、6915人と過去最高になった。

 どうすれば、新しい事業を立ち上げられるか。いま子どもたちへの起業家教育が注目されている。経済産業省が2015年1月に小中学校2千校にアンケート(有効回答569校)したところ、小学校10・2%、中学校32・9%で実施していた。やってみたところ、「チャレンジ精神が高まった」と答えた小学校が8割以上、中学校は「プレゼンテーション力が高まった」が7割以上だった。

 株式会社も資本金1円でできる。専修大の徳田賢二教授は、「心理的にも環境的にも、若い人に起業が身近になった」と指摘する。

 「僕にとって起業は部活の延長のようなものです」。11月に18歳になる下村光彦さんはこう語る。沖縄の高校2年生。昨秋、アプリ制作会社をつくった。

 きっかけは校内に貼り出された…

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