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 中央自動車道の笹子トンネル(山梨県)の天井板が崩落して9人が死亡した事故で、中日本高速道路(本社・名古屋市)と子会社は5日、遺族に約4億4千万円の賠償金を支払うよう命じた横浜地裁判決を受け入れ、控訴しないと発表した。原告も控訴せず、一審判決が確定する。

 中日本高速は「判決で示された事故以前の点検・維持管理体制に対する指摘を真摯(しんし)に受け止める。ご遺族の気持ちにしっかりと向き合わなければならないと考え、総合的に検討した」とするコメントを出した。遺族へのおわびを改めて表明し、再発防止に取り組むとしている。

 一審判決は、2012年12月に起きた事故の約2カ月前に、双眼鏡を用いた目視での点検は、「甚だ不十分だった」と指摘。「打音検査や触診といった適切な点検をしていれば事故は避けられた」と会社側の過失を認定。原告側の主張を全面的に認めた。

 事故をめぐっては、遺族らがほかに当時の中日本高速幹部らを相手取り、損害賠償を求める訴訟を2件起こしており、いずれも2月16日に横浜地裁で判決が言い渡される。(村上友里)

■遺族「やっと終わった」

 中日本高速道路が控訴断念を発表したことで、遺族から安堵(あんど)の声が聞かれた。

 「ほっとした。ついに会社が非を認めた」。事故で亡くなった上田達(わたる)さん(当時27)の父聡さん(63)=横浜市金沢区=と母敦子さん(59)は、自宅に飾った達さんの写真に「やっと終わったよ」と語りかけたという。聡さんは「控訴断念で、中日本高速が本当に反省したと感じた。やっと会社と遺族の間の壁が取り払われた」と話した。

 亡くなった石川友梨さん(当時28)の母佳子さん(57)=神奈川県横須賀市=は、弁護士から控訴断念の知らせが入ると、すぐに上田敦子さんに「よかったね」とメールを送り、喜び合った。父信一さん(66)は「遺族が裁判で訴えたかったのは、原因究明や再発防止。これから中日本高速がどう生まれ変わるかが一番重要だ」と話した。(黒石直樹)