詩集「求めない」で知られる詩人の加島祥造(かじま・しょうぞう、本名加嶋祥造)さんが昨年12月25日、老衰で死去した。92歳だった。葬儀は近親者で営まれた。

 東京都出身。47年に田村隆一や鮎川信夫らとともに詩誌「荒地」に参加した。主な詩集に「晩晴」、新川和江さんとの共著「潮の庭から」など。信州大や横浜国立大で英米文学を教え、ウィリアム・フォークナーやマーク・トウェインの翻訳がある。

 90年ごろから長野県の伊那谷に移り住み、老子に傾倒した。「タオ―老子」「タオ―ヒア・ナウ」など、老子の思想を現代詩で表現した本が話題を集めた。07年の「求めない」は、「求めない――」というフレーズで始まる作品を収めた詩集。山深い谷での素朴な暮らしから紡がれた言葉は、競争の激しい現代社会に広く受け入れられ、ベストセラーになった。

 08年の朝日新聞の取材では「もう少し安らかに生きたいと思う時、この言葉を自分に向けると楽になった。80歳を超えた実感から出てきた言葉なんだ」と話していた。