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 商売繁盛を願う「十日えびす」(9~11日)を前に、兵庫県西宮市の西宮神社で、阪神・淡路大震災で倒壊した狛犬(こまいぬ)が21年ぶりに据えられた。顔や脚が欠けた痛々しい姿をあえて修復せず、「震災の記憶を伝える存在」として参拝者を出迎える。

 神社によると、狛犬は江戸後期の1790年、境内にある末社「松尾神社」に一対が奉納された。1995年の阪神大震災で台石から落ちて壊れた。だが、当時は、社務所や絵馬殿も全壊。がれきや石材が散乱した。狛犬の存在は忘れられていたという。

 昨春、倉庫を新築するため、境内を掘り起こしたところ、一対の狛犬が見つかった。混乱状態の中で復興作業が進み、他の石と一緒に埋められてしまったとみられる。昨年12月に経緯を記したプレートとともに参道に置かれた。

 吉井良昭宮司(64)は「こうして出てきてくれた狛犬には何か意味があるのでしょう。多くの人に見ていただき、震災の記憶を心にとめてほしい」と話す。(筒井竜平)