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 中国共産党に批判的な本を出版・販売していた香港の書店関係者5人が失踪した事件が、香港社会に衝撃を与えている。失踪時の状況から中国当局が越境して香港内で拘束したとの見方が出ており、香港での言論の自由や司法の独立を保障した「一国二制度」を揺るがしかねない事態になっている。

 「香港の自由と安全のため、政治的な拉致にはノーを突き付けよう」

 5人の釈放を求め、民主派団体が呼びかけた10日の抗議デモには、主催者発表で約6千人が参加。市民らは「一国二制度」に対する強い危機感を表した。

 失踪したのは、香港中心部にある「銅鑼湾書店」の関係者。100平方メートル足らずの書店だが、党批判や指導者のスキャンダルなど本土で販売できない書籍を扱ってきた。昨年末から店は閉まったままだが、店先には今も「2017年習近平(シーチンピン)崩壊」など刺激的な題名の本のチラシが並ぶ。

 親会社の出版社の株主で、作家でもある李波氏が失踪したのは昨年12月30日。香港紙によると、夕方、出版社の倉庫にいるのが確認された後、行方不明に。夜には妻に「調査に協力しており、すぐには帰れない」と連絡があった。発信元は隣接する広東省深圳市の表示だったという。

 他の4人は昨年10月に相次いで失踪。同じく株主で作家の桂民海氏は滞在先のタイで、店長の林栄基ら3氏は広東省で姿を消した。香港警察は失踪事件として捜査しているが、中国当局が何らかの容疑で調べているとみられる。書店関係者によると、出版社は習近平(シーチンピン)国家主席の女性スキャンダルなどの本の出版計画があったという。

 奇妙なことに、失踪者たちから家族に無事を知らせる連絡が続いている。李氏からは9日にも手紙と本人が話している映像が妻に届き、「完全に個人的な事情であり、騒ぎ立てないで」と伝えてきた。ただ、どこで何をされているかには触れておらず、言葉通りに受け取る人は少ない。

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