「災害に立ち向かう、あなたの『決意』を教えて」――。阪神・淡路大震災で住民53人が亡くなった神戸市長田区の真陽(しんよう)地区で、関西大の学生が、防災に関する「前向きな言葉」を住民から聞き取り、カレンダーに仕立てた。被災経験のない世代は震災を学び、災害に不安を抱える住民らは、自らの言葉に力を得た。

 カレンダーは、関西大社会安全学部の近藤誠司准教授(43)=災害情報論=の研究室の学生約20人が作った。学生らはいずれも1995年1月の震災発生前後の生まれで、当時の記憶はない。「被災者の声を直接聞きたい」と昨年8月、真陽地区の民家60軒を訪ね、次に災害が発生した時の心構えについて聞いた。

 JR新長田駅南側の同地区は、2014年に兵庫県が発表した南海トラフ巨大地震の津波浸水想定で、臨海部の一部が浸水すると予想されている。学生らの問いに、高齢者からは「20年前は助け合えたけど今度は無理」「津波が来たらあきらめる」と、後ろ向きな言葉が多く聞かれたという。3回生の尾崎杏奈さん(20)は「災害が来る前に心が折れてしまっている。この状況を学生の力で前向きに変えたい」と考えた。

 学生たちはあらためて、8~11月の延べ20日間、地区内の事業所や市場、小学校などをまわり、住民213人に防災について「前向きな言葉」を紙に書いてもらって撮影。「避難所で妹の面倒をみます」(真陽小5年の男児)「日ごろからの絆が大事」(商店街の女性ら)などの言葉が集まった。「21年前の経験を踏まえ、災害時には『自分はこうする』という宣言が集まった」と近藤准教授。