自らの音楽を変革しながら、世界の音楽やアートを刺激し続けた英国人ロック歌手デビッド・ボウイ(本名デビッド・ロバート・ジョーンズ)さんが10日、死去した。69歳だった。ツイッターなどの公式アカウントで11日、公表された。がんのため18カ月にわたり闘病していたという。69歳の誕生日だった今月8日に最新アルバム「★(ブラックスター)」をリリースしたばかりだった。ポップカルチャーに影響を及ぼし続けた伝説的歌手の突然の訃報(ふほう)を、各国メディアは衝撃をもって伝えた。

 公式サイトなどによると、ボウイさんは1947年、南ロンドン生まれ。10代の頃にサックス奏者として音楽活動を始めた。67年にアルバム「デヴィッド・ボウイ」を発表し、69年の「スペイス・オディティ」や72年の「ジギー・スターダスト」で注目を浴びた。

 SF的な構想、唯美的で哲学的な歌詞。端正な顔と中性的な容姿に、歌舞伎などの意匠を採り入れたエキセントリックなファッションやメイク。そして演劇的なステージで、けばけばしくも魅惑的な「グラムロック」の最前線を走り、70年代以降の代表的ロックアーティストとして世界的な評価を得た。ブライアン・イーノさん、故ルー・リード、ナイル・ロジャースさんら多くのミュージシャンとも交流を重ねた。「ダイアモンドの犬」「ロウ」「ヒーローズ」など優れたアルバムを発表。「スターマン」「レッツ・ダンス」「チャイナ・ガール」など数々のヒットも飛ばした。73年の初来日以降、頻繁に日本公演を行った。

 俳優としての顔も持ち、76年には映画「地球に落ちて来た男」に主演。78年には映画「ジャスト・ア・ジゴロ」で名優マレーネ・ディートリヒと共演した。坂本龍一さん、ビートたけしさんも出演した83年公開の映画「戦場のメリークリスマス」(大島渚(なぎさ)監督)で英軍の将校役を演じた。

 2000年に英音楽誌「ニュー・ミュージカル・エクスプレス」がミュージシャンを対象に実施した「20世紀で最も影響力を持ったアーティスト」調査で1位になった。2000年代は公の場に姿を現すことは少なく、最後のライブコンサートは06年だったが、13年に10年ぶりのアルバムを発表して「復活」を果たしていた。

 息子で映画監督のダンカン・ジョーンズさん(44)は11日、「とても残念で悲しいことだが、(ボウイさんの死去は)本当だ」とツイート。キャメロン英首相(49)も、「ポップスの天才デビッド・ボウイを聴き、見て育った。大きな喪失だ」とツイートした。(渡辺志帆=ロンドン、篠崎弘)