【動画】真田幸村の魅力を語る歴史アイドルの小日向えりさん=竹谷俊之撮影
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 NHK大河ドラマ「真田丸」も始まり、戦国武将・真田幸村への注目度が一段と高まっています。真田好きが高じて、聖地巡礼の記録『いざ、真田の聖地へ』(主婦と生活社)まで刊行した歴史アイドル(歴ドル)の小日向えりさんに、真田の魅力を聞きました。

 ――歴ドルになったきっかけは。

 昔からオタク気質で、大学時代に個性的なTシャツを集めていたんです。色々探しているうちに三国志の張飛のTシャツを見つけて、三国志の世界に興味を持ちました。

 横山光輝さんの漫画を読み始めたら面白くて、60巻を読破。その後は吉川英治さんの小説を読み始めました。三国志の次は、戦国ものや司馬遼太郎さんの小説へ。そこから史実を調べたり、遺跡めぐりをしたり…気づいたら、Tシャツがきっかけで歴ドルになってました(笑)。

 高校までは理系で、大学も情報系。最初から歴史好きというわけではありませんでした。人物や物語から入っていったのがよかったのかな。やっぱり「歴史=勉強」という先入観があると、食わず嫌いで苦手意識を持ってしまいがちですから。

 ――真田一族のどんなところに魅力を感じますか。

 真田幸村だけでなく、「真田家」「真田一族」のファミリーとしての魅力が大きいです。絆だったり、人間関係だったり。真田好きの人はみんなそうなんじゃないかな。武田信玄一人が異彩を放つ、武田家とはそこが違います。

 ――まず、真田幸村(信繁)の父・真田昌幸について教えてください。

 父の昌幸公は、やっぱり知略の人ですよね。幸村の方が名前は知られていますが、実は功績があるのは昌幸の方。第1次・第2次上田合戦では、徳川軍を2度にわたって蹴散らしています。

 北条・徳川・上杉とすごい大名に囲まれ、並みの武将ならのみ込まれてしまうところを、あっちについたり、こっちについたりしながら、猫の額ほどの信州・小県の地を懸命に守り抜いた。「表裏比興(ひょうりひきょう)の者」〈※表裏のある食わせもの〉とあだ名されるゆえんです。徳川の下についても、心の底からは服従しない。忠誠はずっと武田家にあるんです。

 ――幸村の兄・信幸(信之)についてはいかがでしょう。

 幸村公が真田家の「名」を残したのだとしたら、後世まで「家」を残したのが兄の信幸公。花形ではないですし、地味かもしれませんが、お家を残すってすごいことです。

 「犬伏の別れ」を経て、関ケ原の戦いで信幸は東軍に、昌幸・幸村は西軍につきます。親子で敵味方に分かれてしまうんです。

 東軍が勝った後、信幸は家康に昌幸・幸村の助命を嘆願します。自分自身の命も危なくなるかもしれないのに、「何とか命だけは助けてください」と必死にお願いする。敵味方に分かれても、家族の絆は消えません。徳川家との板挟みになりながら、父と弟を気に掛けていたんです。

 ――幸村はどのような人物だったのでしょうか。

 『葉隠』に「武士道というは死ぬことと見つけたり」とありますが、幸村はまさに武士道を体現した人です。中国史は「いかに生き残るか」が重視されるんですけど、日本人は独特の美学があって、「いかに死ぬか」「散り際にいかに美しくあるか」を考える。大坂の陣での華々しい最期があったからこそ、いまの人気があると言えます。

 幸村は関ケ原で負けた後、14年間も和歌山の九度山で蟄居(ちっきょ)します。そこで亡くなってしまってもおかしくなかったのですが、大坂の陣という活躍の場がめぐってくる。「ここで一花咲かせよう」と思ったのではないでしょうか。

 大坂冬の陣で築いた出城「真田丸」では、徳川軍に多くの死傷者を出します。そこで真田幸村の名が天下にとどろくわけです。それまで昌幸は有名でも、幸村の名は知られていなかったんですね。

 家康は「十万石やるからこっちにこないか」とヘッドハンティングしようとしますが、幸村は受け入れない。「信州一国を与える」と言われても、ビシッと断ります。男気を感じますよね。

 幸村は「自分の命はないようなものだ」というような手紙を書き残しています。父・昌幸への供養の思いもあったかもしれないし、「お家は兄が続けてくれる。ならば自分は真田家の武門を掲げよう」と考えたかもしれません。最後の最後まであきらめずに戦い、家康の首まであと一歩というところに迫った時も、そんな思いがあったのではないでしょうか。

 ――近年のゲームやアニメではかなり美化されていますが、実際の幸村は、大坂の陣の時点ではおじいさんのような風貌(ふうぼう)だったとも言われています。

 「前歯が抜けていた」「白髪交じりだった」と言われていますね。でも、ゲームでは超イケメンですし、漫画でも美少年キャラで通っています。やっぱりエンターテインメントですから、カッコ良くないとダメなんです。史実そのままなら、歴史の教科書を読んだ方がマシ。エンタメとして物語性、ヒーロー性を描くためには、イケメンの方がいいのでしょう。

 大坂の陣での幸村の奮戦ぶりは、敵方からも「日本一の兵(ひのもといちのつわもの)」とたたえられました。本陣を切り崩して家康の首まであと一歩のところまで迫り、秀忠を逃亡寸前に追い込んだ。そうしたヒーローとしての精神性・武士道としてのカッコ良さをビジュアル化した結果、イケメンになったのだと思います。

 ――ゲームだと極端なデフォルメもあります。「戦国BASARA」で千利休が二重人格という設定になっていたりとか。こうした部分に、歴史ファンとして違和感を覚えることはありますか。

 それはそれとして楽しんでいます。あの逸話をこういう風にデフォルメしたんだ、という見方ですね。たとえば本多忠勝であれば、57もの合戦に臨んで傷一つ負わなかったと伝えられています。それが「BASARA」では、まるでロボットのような姿で描かれている(笑)。逸話を知っているからこそ、面白いんです。大河ドラマも同じで、あの逸話をどうアレンジしたのかな、という視点で見ています。

 ――今年の大河ドラマは真田一族を描く「真田丸」です。どんなところに注目しますか。

 真田一族の魅力がどのように描かれていくのか、楽しみにしています。「真田丸」は大坂冬の陣で幸村が築いたとりでの名前ですが、真田ファミリーを乗せた一そうの船のたとえでもある。

 脚本の三谷幸喜さんは群像劇を得意とされていますし、幸村だけでなく、一族の一人ひとりがきちんと描かれていくのではないでしょうか。個性豊かなキャラクターのなかで、「私はこの人が好き」というお気に入りを見つけると、楽しく見られると思います。(神庭亮介

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 〈こひなた・えり〉 1988年、奈良県生まれ。横浜国立大学教育人間科学部卒。歴史アイドル=歴ドルとして活動中。信州上田観光大使や関ケ原観光大使、会津親善大使を務める。好きな武将は真田三代(真田幸隆・昌幸・幸村)、石田三成、大谷吉継。