[PR]

 デンマーク国会で13日、難民申請者の所持金や財産の一部を国が押収できる法案の審議が始まった。政府の難民保護費に充てる名目だが事実上の流入抑制策とされ、難民を援助する国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)は「(難民申請者の)尊厳への侮辱で、プライバシー権への恣意(しい)的な干渉」と批判。法案取り下げを求めている。

 ロイター通信などによると、法案は、デンマークへ難民申請をした人から1万クローネ(約17万1千円)を超える現金や所持品を政府が押収し、難民保護費に充てることができるというもの。結婚指輪や家族の肖像画など思い出にかかわる品や携帯電話などの生活必需品は除外される。

 デンマークは昨年だけで約2万人以上が難民申請したといい、増え続ける難民が公共サービスを圧迫するなどとして国民の反発が強まっていた。

 インガ・ストイベア統合相は、同様の措置は福祉手当を申請するデンマーク人にも適用されていると説明したが、第2次世界大戦中にナチス・ドイツがユダヤ人を虐殺した際の財産没収を思い起こさせるとして批判が噴出している。

 法案はラスムセン首相率いる与党・自由党や移民排斥を訴える右翼・デンマーク国民党など右派勢力の支持を得て、今月下旬に可決、成立する見通し。(ロンドン=渡辺志帆