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 長野県軽井沢町軽井沢の国道18号の入山峠付近で15日未明、斑尾(まだらお)高原に向かっていたスキーツアーの大型バス(乗客・乗員計41人)が道路脇から転落し14人が死亡した事故で、運転手が会社に報告せずに、ルートを変更していたことが分かった。バス会社が明らかにした。道路運送法では、運転手があらかじめ定めたルートを変える場合、会社への報告が義務づけられている。国土交通省が事実関係を調べている。

 バスを運行した観光事業会社「イーエスピー」(東京都羽村市)によると、バスは14日午後11時に東京・原宿を出発。群馬から長野への県境を越える際、ツアーを企画した旅行会社「キースツアー」(東京都渋谷区)から示された行程表では上信越道を利用するルートだったが、死亡したバス会社の土屋広運転手(65)=東京都青梅市=は事故現場となった国道18号(碓氷〈うすい〉バイパス)を走行していた。

 国交省の特別監査の結果、本来はイーエスピーが詳細なルートを記した「運行指示書」を運転手に渡す義務があったが、始発と終点だけしか書いていなかった。道路運送法違反の疑いがあるという。

 同社の担当者は「運行指示書に行程表を添付したのでよいと思っていた。運転手から会社にルート変更の連絡がなかったことを確認した」としている。

 長野県警はこの事故で、土屋運転手とともに乗務した勝原恵造運転手(57)=青梅市=と大学生12人の計14人が死亡、重体2人を含む計26人が重軽傷を負ったと発表した。主な死因は頸椎(けいつい)損傷や頭蓋(ずがい)内損傷、多発性外傷だった。15日、自動車運転死傷処罰法違反(過失運転致死傷)の容疑でイーエスピーを家宅捜索した。16日にはキースツアーと土屋運転手の自宅を道交法違反(過労運転)の疑いで家宅捜索する方針。

 これまでの調べで、バスは下り坂の緩い左カーブを走行中、対向車線にはみ出し、道路脇に転落したとみられている。

 現場から約100メートル手前の道路左側のガードレールからは、バスが接触したとみられる跡が見つかっており、運転手が急にハンドルを切って対向車線にはみ出した可能性があるとみている。また、現場の路上には片側のタイヤの跡だけしか残っていないことから、事故直前、バスの片側が浮き、傾いた状態で走行した可能性もあるとみている。イーエスピーの説明では、バスにはドライブレコーダーは付いていなかった。

 青梅、渋谷の労働基準監督署もイーエスピーと、キースツアーについて、運転手の労働時間などに問題がなかったか調べる。

 土屋運転手が昨年12月まで勤務していた職場の関係者によると、土屋運転手は小型バスで近距離を送迎する仕事が主だったという。