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 米軍普天間飛行場を抱える沖縄県宜野湾市の市長選が告示された。名護市辺野古への移設計画をめぐって注目される一方、有権者の「辺野古」への思いは複雑で、候補者たちの主張もかみ合わないままだ。

 地元の有権者にとって、候補者を選ぶ上での「辺野古」の重みはさまざまだ。

 無職宮城盛一さん(72)は、「辺野古反対」を基準にするという。自宅では、米軍機が飛ぶたびにテレビの映像が乱れ、孫たちが爆音を怖がって抱きついてくる。2004年には近くの沖縄国際大学に米軍ヘリが墜落したが、米軍機は相変わらず上空を飛び交う。「自分たちの苦しみを同じ沖縄県内に持って行けとは言えない」

 3歳の息子を育てる自営業照屋真実さん(43)も、普天間飛行場がなくなってほしいと願う。隣の浦添市で生まれ、10年前に転居。マンション8階の自宅は、オスプレイが飛来するたびに窓が揺れる。ただ、尖閣諸島などをめぐる近隣国との摩擦も気になり、移設先としてどこが最適かは「わからない」。今回の選挙では、子育て支援をめぐる議論を重視したいという。

 自営業保良(やすら)光春さん(65)は「普天間はこの20年、全く動かなかった。これ以上もめれば、また何十年も同じことの繰り返しになる」と、辺野古移設を容認する立場。ただ、投票先を選ぶ上では、基地問題よりも地域振興を重視するという。

 「道路整備や街づくりがちょっとずつ実現してきた。暮らしやすくなるのが一番」。基地問題よりも、地域の生活環境を一つずつ改善することを重視する市長を望むという。

■候補者の訴え、かみあわず

 「4年間、結果を出してきた。(基地負担に関連した)交付金は前市政の4倍に増えた」。現職の佐喜真淳(さきまあつし)氏(51)は市役所に近い国道沿いの駐車場で第一声を上げた。子ども医療費の無料化、給食費の半額助成、基地周辺道路の整備着手などを実績としてアピールした。

 普天間問題に触れたのは演説の終盤。「基地のない宜野湾へ前進させる」とし、最後に「普天間の固定化はノー」と大声で3回繰り返して締めくくった。しかし、移設先の是非には踏み込まず、「辺野古」は口にしなかった。

 新顔の志村恵一郎氏(63)は、自宅近くの商店街で出発式を開いた。「相手は辺野古の賛否を明確に答えていない。私は新基地建設反対と申し上げる」と声を上げ、翁長雄志知事と手を握って両腕を掲げた。

 2014年の衆院選で「辺野古反対」を掲げて小選挙区を制した4人の国会議員、翁長氏を支える社民や共産などの与党県議らも顔をそろえ、応援のマイクを握った7人全員が「辺野古」に言及。「政府に屈するな」「沖縄の誇りを守ろう」と訴えるたび、集まった支持者から歓声が上がった。

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