朝日新聞所蔵の10万枚以上の皇室写真からえりすぐりを紹介する「皇室写真館」。今回は天皇、皇后両陛下が26~30日にフィリピンを訪れるのを前に、皇太子ご夫妻時代の1962年の訪問を特集します。

 戦時中に日米の激戦地となり、多くの住民が犠牲になったフィリピンでは、当時も根強く反日感情が残っていました。訪問前の記者会見で「日本とフィリピンの関係は、過去には必ずしもいいとはいえなかった」「こんどの訪問を機会に両国関係がさらに少しでもよくなれば非常に幸いと思います」と語っていた天皇陛下。現地では積極的に住民と向き合いました。フィリピン大学を訪れた際、天皇陛下は学生に握手の手を伸ばし、皇后さまは民族衣装の女性に笑顔で話しかけました。バギオの商店ではお土産に地元で織られた布地を買い求めました。こうした交流ぶりが広く知れ渡ったようで、当時の朝日新聞には「微笑(ほほえ)みで開いた心のトビラ」(1962年11月10日付朝刊)と題した記事が掲載されました。

 フィリピン独立のために戦ったアギナルド将軍の邸宅を訪れた写真も。バルコニーで歓迎の市民にこたえる両陛下の笑顔が印象的な一枚です。天皇陛下は訪問終盤の記者会見で「アギナルド将軍と一緒にバルコニーに立つことができたことは一生忘れません」と語っていました。

 皇后さまのファッションにも注目してください。遠目からもはっきりと分かる花を散らした模様や紅白梅の訪問着、さわやかなワンピース。「おお、ビューティフル」と現地のカメラマンがつぶやいた、と当時の記事(62年11月6日付朝刊)は報じています。

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