天皇、皇后両陛下は26日、羽田発の政府専用機でフィリピンに入った。国交正常化60周年にあたり同国から招待があり、親善行事に臨む。日本とフィリピンの戦没者を悼む碑も訪れる。戦後70年を過ぎても、太平洋戦争の激戦地への慰霊の旅は続く。

 両陛下はこの日午後、マニラにあるニノイ・アキノ国際空港に到着した。汗ばむ気候のなか、アキノ大統領と姉のアベリャダさんの出迎えを受け、笑顔で握手を交わした。通常、国賓は副大統領が出迎えるといい、大統領自らが空港に足を運ぶのは異例だという。天皇陛下は花の首飾りをかけられ、皇后さまは花束を受け取った後、儀仗(ぎじょう)隊を閲兵した。

 宿舎のホテルでは、マニラ日本人学校1年生の児童約70人が両国の国旗を振って待ち受けた。両陛下は、ほほえみながら歩み寄り、声をかけた。

 ホテル到着からわずか1時間半後には、青年海外協力隊の隊員らと懇談。予定時間を超えて一人一人に丁寧に声をかけた。天皇陛下は、レイテ島で活動する女性に「戦争が激しく行われた所と聞いていますが、不発弾の心配はないですか」などと質問、3年前の台風被害についても心配していた。皇后さまは観光振興に取り組む女性に「異文化を知ることは観光業に大事ですね」と語った。

 続いて、隊員らとマニラ湾に沈む夕日を見守り、最後に天皇陛下は「意欲的にそれぞれの道で進んでこられていることを大変うれしく思います。これからもそれぞれの経験を大切にしてそれぞれの道を歩んで行かれるよう願っています」と語りかけた。

 「フィリピンでは、先の戦争において、フィリピン人、米国人、日本人の多くの命が失われました」「私どもはこのことを常に心に置き、この度の訪問を果たしていきたいと思っています」。天皇陛下はこの日午前、羽田空港で開かれた出発行事で、皇太子さま、秋篠宮さま、安倍晋三首相らを前にそう述べた。

 29日に日本人戦没者を悼む「比島戦没者の碑」を訪れることについて「フィリピン各地で戦没した私どもの同胞の霊を弔う碑に詣でます」と触れ、「この度の訪問が、両国の相互理解と友好関係の更なる増進に資するよう深く願っております」と語った。(マニラ=島康彦、伊藤和也)